◆第40回ホープフルS・G1(12月28日、中山・芝2000メートル)
中央競馬の1年を締めくくる第40回ホープフルS・G1(28日、中山)もレジェンドが主役だ。24日の有馬記念で歴代最多タイの4勝目を挙げた武豊騎手(54)=栗東・フリー=にとっては、JRAの平地G124競走で唯一未勝利のタイトル。2連勝中のセンチュリボンドとコンビを組み、前人未到の完全制覇に挑む。
武豊は88年菊花賞から24日の有馬記念まで、足かけ36年でG1・81勝を挙げてきた。しかしホープフルSは17年に格付けが上がった最も新しいG1。昇格前には騎手別最多の5勝を挙げているが、G1となってからは同年ジャンダルムの2着が最高だ。一昨年、朝日杯FSを22回目の挑戦にしてドウデュースで勝って以降、全G1制覇に再王手の状態が続いている。
数々の記録を樹立してきたレジェンドにとっては残された数少ない偉業の一つだが、リーチで臨むのも今年で3年目。「あと一つなんで、勝ちたいね。早くしないと、JRAがG1を増やしちゃうから」と冗舌だ。今年は6頭しかいない2勝馬の一頭で、自身も2度コンビを組んだセンチュリボンドがパートナーだ。
自身の手綱で13年の日本ダービーを制したキズナの産駒。3着の新馬戦と初勝利を挙げた2走前を振り返り、「すごく乗り味がいい。ストライドが大きいので2走前はのびのび走らせようとハナに行ったんだけど、それがよかった」と語る。前走は右太ももの負傷で乗れなかったが、「夏は(良くなるのは)まだまだ先かなと思っていたけど、前走もいい勝ち方だった」とレースぶりも評価。2戦2勝の重賞馬2頭など相手は強化されるが、「ここまではそんなにすごいパフォーマンスではないけど、小回りの2000メートルで結果を出しているのは間違いなく強み」と前向きだ。
右太ももの筋挫傷からの復帰までの道のりは、想像以上に厳しかった。「つらかったのが内出血でたまった血を抜く時。すごく太い注射針で、ものすごく痛い。もうあれはしたくない」と苦笑いを浮かべた。「2歳馬同士で、多くの馬にチャンスはあるんじゃないかな」。1年を締めくくる舞台にも、やはりその存在は必要不可欠。帰ってきたレジェンドが、今年こそ、不滅の金字塔を打ち立てる。(山下 優)