◆第38回根岸S・G3(1月28日、東京・ダート1400メートル、良=1着馬にフェブラリーSの優先出走権)
東西で2重賞が行われ、昨年の全国リーディング1位に輝いた杉山晴紀調教師(42)=栗東=が同日ダブル重賞制覇を達成した。第38回根岸S・G3(東京)は1番人気のエンペラーワケアが直線で楽々と抜け出し、3連勝で重賞初V。フェブラリーS・G1(2月18日、東京)の優先出走権を獲得した。第29回シルクロードS・G3(京都)は2番人気のルガルが3馬身差の快勝で初タイトルをゲットした。
勢いは東でも止まらなかった。重賞初挑戦だったエンペラーワケアは、4角5番手から直線を向くと外からグングン加速。後続を寄せつけずに2馬身半差をつけ、一気の3連勝で初タイトルをもぎ取った。東西で同日重賞制覇を成し遂げた杉山晴調教師は「東京は合うのではというイメージがあったが、いい脚を見せてくれた。よかったです」と、キャリア7戦目だった4歳馬の頑張りをたたえた。
オープン入りを決めたばかりだったが、大事に育てた素質が花開いた。川田は「重賞に手が届いて当然の馬だとも思いますし、これから先がますます楽しみになると思います」と、能力の高さを評価。成長の影には指揮官の“信念”があった。
同馬はデビュー2戦目で初勝利を挙げた後、まだ脚元が固まりきっていなかったため、8か月の休養を取った。同じ草間庸文オーナーから預託された2歳上の半兄アレグリッシモは新馬2着の後に故障して引退。その記憶から、慎重に馬の将来を考えての決断だった。これでダートは6戦5勝、2着1回。全く底が見えない。杉山晴師は「オーナーにご理解いただけて、今に生きています」と感謝を口にした。
フェブラリーSの優先出走権を手にしたが、指揮官は「可能性としてはゼロではないですが、あまり無理をしたくない気持ちが強い」と話すにとどめた。この日3勝を挙げ、今年8勝と調教師リーディングで単独トップに。昨年から好調をキープするトレーナーは、これからも馬にとってベストの選択を探っていく。(坂本 達洋)