日本競馬の名場面として語り継がれる19万人の「ナカノコール」が東京競馬場にこだました1990年の日本ダービーから34年。騎手としてJRA通算370勝(重賞16勝)。1996年に厩舎を開業し、調教師としてもJRAで290勝を積み上げた中野栄治調教師が、3月3日の競馬を最後に定年引退を迎える。
朝一番に極寒の美浦トレセンに姿を見せ、温かいコーヒーを記者に振る舞ってくださったトレーナーに、今の心境をうかがうと「特に何か変わったことはないよ」と笑顔。「騎手のときから記録よりも記憶に残るレースをしてきたつもり」と自身の競馬人生を振り返る。馬の気持ちを考えることを大事にしており「カイバを(調教の)1組目が食べているのに、2組目の馬が横で食べられないのはかわいそうでしょ。俺が動物だったら、早くご飯を食べたいと思うはず。仕事は早く」と考えてきた。スタッフに話を聞いても「人馬ともに穏やかで厩舎の雰囲気がいい」と、力を発揮しやすい環境をつくってきた。最終週は15頭がスタンバイ。厩舎一丸で最終週を締めくくる。