◆第84回皐月賞・G1(4月14日、中山・芝2000メートル)
第84回皐月賞・G1は14日、中山競馬場で行われる。今週の「考察」を担当する坂本達洋記者はプロローグ編で、76年ぶり史上3頭目の牝馬Vを狙うレガレイラに注目。ホープフルSを差し切った決め脚を同じ舞台で再現すれば、牡馬撃破は十分可能との見方を示した。
年明けから次々と新興勢力が台頭してきて、今年の皐月賞は群雄割拠の大混戦とみている。そこでも、ひときわ目を引くのが“紅一点”のレガレイラだ。76年ぶりの牝馬制覇の快挙が懸かっているが、84年にグレード制が導入されて以降の牝馬による挑戦は3頭のみだ。それはハードルの高さを物語るが、逆に確かな勝算がなければチャレンジするとは思えない。
今年1月末に開催された23年度JRA賞授賞式で、馬主のサンデーレーシング・吉田俊介代表に話を聞く機会があった。レガレイラが5大特別競走登録で桜花賞とオークスだけではなく、皐月賞と日本ダービーもエントリーしていることについて、「最初から素晴らしい能力があると期待していた馬」と高い評価が聞けた。さらに同馬の特徴を見定めたうえで、皐月賞への適性が高いと判断したという。
これまでのキャリア3戦は芝1800メートル以上。前走のホープフルSもスタートはひと息だったが、直線で豪快に差してねじ伏せる競馬だった。同代表が「そういった特性があるし、長い距離での活躍を期待している」と説明するのは納得で、マイルの桜花賞よりも力を発揮しやすい舞台条件。決め手は牡馬相手でも見劣らず、現にホープフルSを勝っているのだから期待は膨らむ。
数々の名牝を手がけてきた国枝調教師によれば、「牝馬の方が物覚えが早いし、体質的に完成するのも早いと思う」という。自身が牝馬のサトノレイナスで21年の日本ダービー(5着)に挑んだ際は、「その世代の牡馬より上だと思ったから」と手応えがあったそうだ。
あまたの大レースを制してきた馬主と、トップステーブルの仲間入りを果たした美浦・木村厩舎のジャッジは信頼に足ると感じる。(坂本 達洋)