◆天皇賞・春追い切り(24日・栗東トレセン)
第169回天皇賞・春・G1(28日、京都)の追い切りが24日、東西トレセンで行われ、「考察」担当の水納愛美記者は関東馬のドゥレッツァに注目した。昨年の菊花賞馬は10日から滞在している栗東のCWコースで上昇ムード。馬トクの総合評価ではサヴォーナ、ワープスピードに次ぐ動き3位にジャッジされた。25日に枠順が発表される。
態勢は整った。昨年の菊花賞馬ドゥレッツァは、確かな上昇ムードを漂わせている。
栗東・CWコースで単走。とにかく、力強い伸び脚が目を引いた。ラストで気合をつけられ、四肢を大きく伸ばして加速。首の使い方も豪快で、全身にパワーがみなぎっていた。この日は風速約5メートルと強風だったが、ものともせず。尾関調教師も「直線半ばまで持ったまま。促して、少し沈むような感じでぐっと伸びて、いい感じ」と目を細めた。
関西圏のG1で、関東馬の栗東滞在はもはやトレンド。しかしドゥレッツァは、美浦で調整した菊花賞でも結果を出している。今回はなぜ“前乗り”? 尾関師は「ゴールデンウィークで、輸送のことを考慮して、メリットがあると考えた」と説明。大型連休による交通渋滞を避けるためと分かり、小さな不安材料も取り除こう、という周到ぶりに感心した。
前走の金鯱賞は5馬身差の2着と完敗。勝ち馬と比べ斤量が1キロ重く、通ったコースの差もあったが、尾関師は、“仕上がり途上”を敗因に挙げた。「休みが長かったぶん、調整に苦労したところがあった。無駄に力んでいたところがあった」。そのぶん、使った上積みは確か。先週よりも、追われたときの反応が俊敏になっていた。指揮官の「1回使われて、だいぶリラックスしている」という言葉にもうなずける。
全5勝のうち菊花賞以外に、2000~2200メートルで4勝。トレーナーは「本質的にはステイヤーとまでは思っていない」と評価するが、「(天皇賞・春には)菊花賞馬として、行かないといけないところ」と言い切る姿には、プライドが表れていた。長距離王への道筋は、はっきり見えている。(水納 愛美)