火災の奥山ファーム クラウドファンディングの目標額1200万円達成し、再建へ

厩舎の再建工事が始まった奥山ファーム(奥山ファーム提供)
厩舎の再建工事が始まった奥山ファーム(奥山ファーム提供)

 2月に火災に見舞われて、管理馬17頭が焼死し、存続の危機に陥っていた奥山ファーム(北海道日高町)を支援するために立ち上げられたクラウドファンディング。5月1日の締め切りを前に、このほど最終目標額の1200万円を突破した。その金額だけでなく、多くの温かいメッセージを目にした奥山昌志代表(43)は「これだけ多くの方が応援してくれているんだ」と実感。強い気持ちを胸に再建へ向けて動き始めた。

 4月16日にクラウドファンディングについてのスポーツ報知の記事が配信されると、SNSやネットを中心に瞬く間に拡散し、一気に支援額が伸びていった。「一日だけで100万円以上が集まって、反響に驚きました。『報知を見た』という方もいて、支援の輪が一気に広がったことを感じました」。馬産地でも協力の輪は広がり、道の駅や種馬場、飲食店などにもチラシを配る活動が行われた。

 クラウドファンディングの発起人は、友人の山崎宗磨さん。「起きてしまったことなので、未来を良くすることだけを見据えて、何かできないかと考えました。このまま“火事を起こした牧場”というイメージで終わるのは良くないと思っていて、支援が集まることでネガティブなものを逆転できるのではないか」。友人を助けたいという一心での行動だった。

 想像以上の反響や温かいコメントを目の当たりにし、「競馬を超えたものを感じた」と山崎さんも驚き。今後の活動については「支援していただいた資金をしっかりと正しい使い方をしていることを皆さんに知ってもらえるように」と、クラウドファンディングの支援サイトや、X(奥山ファームを応援する会)で再建の状況を発信していく予定になっている。

 奥山代表は「火災前にもヒーターなど出火の原因になるものは厩舎に置かない、漏電ブレイカーを設置するといった対策をしてきましたが、それでも漏電は防げなかった。皆さまの期待を裏切らないためにも、今後は火災報知器やスプリンクラーをつける予定です。二度とあのようなことが起こらない牧場にしていきます」と力を込めた。多くの後押しを原動力に、奥山ファームの新たな歩みが始まる。(浅子 祐貴)

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