ニュージーランドで絶好調の橋詰大央騎手が栗東訪問 「ユタカさんに『頑張って』と言ってもらいました」

武豊騎手(左)、横山典弘騎手(右)と記念撮影した橋詰大央騎手(本人提供)
武豊騎手(左)、横山典弘騎手(右)と記念撮影した橋詰大央騎手(本人提供)

 今季のニュージーランド競馬で、4月6日から5月11日までに重賞5勝と絶好調の橋詰大央(はしづめ・まさひろ)騎手が5月29日、栗東トレセンを見学した。同学年の小崎綾也騎手=栗東・フリー=のニュージーランド(以下、NZ)武者修業中に知り合い、今回の訪問が実現。武豊騎手や横山典弘騎手を見つけると挨拶に行き、談笑、記念撮影していた。「ユタカさんに『頑張って』と言ってもらいました。栗東トレセンは15~16歳の頃に一度、来たことがありますが、当時はジョッキーを目指しておらず、今回はホースマンとして勉強させてもらいました。NZはウッドチップも坂路もないですし、1頭の調教にかける時間も短いですね」と刺激を受けていた。

 高校2年生の時に「両親の勧め」でJRA競馬学校騎手課程を受験したが、不合格に。当時は「競馬を見たこともありませんでした」という。その後、千葉県の乗馬学校に行き、坂路で速めのキャンターを乗った時に「初めて楽しいと思えました」。騎手を目指す気持ちが芽生え、道を探した結果、NZ行きを決意した。乗馬学校で高校卒業の資格を取り、就労ビザも取得できる18歳の4月1日を待ってNZへ。まず3か月間、日本人のいない英語学校で英会話を学び、その後の半年間はNZでは馬を扱う資格があるため、乗馬の学校に通った。

 学校で出会った先生に、クライストチャーチ(NZ南島の都市)のニール・リドリー厩舎を紹介してもらい職場体験。ブライアン・コート厩舎での勉強中には馬に対する考え方の違いから一度は心が折れたが、成人式で日本に帰国した際に仕事にまい進する友人から刺激を受け、一念発起した。NZに戻り、「給料はいらないので馬を教えてください」とケンブリッジ(NZ北島の町)のラルフ•マニング調教師に直談判し、見習い騎手をスタート。マタマタ(NZ北島の村)では、22年8月に落馬事故で死去した柳田泰己さんと同居していた。

 オークランド(NZ北島の都市)で元騎手のグラント・クックスリーが厩舎を開業し、手伝っていると「マサはいいバランスを持っている。いいジョッキーになれる」と見習い騎手の監督に伝えてくれた。23年の9月中旬からプロのジョッキーになると、騎手時代に89年のジャパンCをホーリックスで制したランス•オサリバン厩舎、今年を含めてNZダービーを6勝しているロジャー・ジェームス厩舎で主戦ジョッキーのように騎乗する。「特にジェームス調教師は、低迷期に手を差し伸べてくれました」と感謝する。4月27日にはジェームス厩舎のアポストロフィーでトラヴィスS・G2(テラパ競馬場、牝馬限定、芝2000メートル)を制した。

 ニュージーランド競馬は8月からの1年が1シーズン。リーディング8位(30日現在)の浅野一哉騎手はプロとして、西塚洸二騎手=栗東・フリー=の兄の丈二騎手は見習い騎手として精進している。シーズン中での帰国に「今、メチャクチャ波に乗ってるんですが、G1レースが終わったこともあり、高齢の祖母に会いに帰国しました」と優しい一面を見せる。ポジティビティーに騎乗した今年のNZオークスなど、これまでG1は2着が2回。「来シーズンはG1を勝ちたい」と力強く語った。オーストラリアでデビューした藤井勘一郎元騎手のように、いずれJRAの免許を取得する日が来るかもしれない。

 ◆橋詰 大央(はしづめ・まさひろ) 1995年11月24日、福岡県出身。165cm、52kg。ニュージーランド競馬で通算166勝(うち重賞9勝)。プロ1シーズン目の今季は53勝を挙げ、帰国するまではリーディング10位だった。趣味は家族で温泉や遊園地に出かけること。好きなお酒は日本のビール、ウイスキー。家族構成は妻と1男。

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