コントレイル、顕彰馬選定で名馬の仲間入り「コロナ禍の暗い日常に輝く光をもたらしてくれた英雄」矢作調教師も安堵

20年菊花賞で無敗の3冠を達成したコントレイル(左)
20年菊花賞で無敗の3冠を達成したコントレイル(左)

 JRAは4日、24年度の顕彰馬に20年に無敗3冠を達成したコントレイル(牡7歳)と、04年に“変則2冠”を成し遂げ、種牡馬としても数々のG1馬を出したキングカメハメハの2頭を選定したと発表した。投票者176人中、コントレイルは152票(得票率86・4%)、キングカメハメハは143票(同81・3%)で基準をクリア。今回の選定で顕彰馬は37頭となった。

 昨年、1票足りずに涙をのんだコントレイルが、名実ともに名馬の仲間入りを果たした。昨年は得票率74・9%で逃したが、今年は得票数152票、同86・4%で堂々の選定。「昨年がまさかの選出漏れでしたので、まずはホッとしています」と矢作調教師も安どの笑みを浮かべた。

 英語で「飛行機雲」。そう名付けられたディープインパクト産駒は、19年9月のデビュー戦から3連勝でホープフルSでG1初制覇。20年も皐月賞、日本ダービー、神戸新聞杯、菊花賞と連勝を伸ばし続け、父ディープインパクトに続く史上3頭目の無敗での牡馬3冠を達成。父子での無敗の3冠馬は、史上初の快挙だった。

 「コロナ禍の暗い日常に輝く光をもたらしてくれた英雄でした。無敗の3冠がかかった菊花賞。とても3000メートルを走れるような馬ではなかった彼が、最後まで先頭を譲らなかったゴール前では、その人智を超えた勝負根性に涙が止まりませんでした」とトレーナー。騎手時代に主戦を務めた福永調教師も「このような馬の鞍上にいられたことは、大変光栄なことだと思っています」と感慨にふけった。3冠達成後、ジャパンCでアーモンドアイに初黒星を喫し、勝利から遠ざかったが、引退レースのジャパンCで前年2着の悔しさを晴らす快勝。G1・5勝目で有終の美を飾り、主戦の男泣きはファンの感動を呼んだ。

 引退後は、北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入り。昨年のセレクトセールで初年度産駒の「コンヴィクション2の2023」(牡)が国内市場3位の落札価格5億2000万円の値をつけるなど、来年デビューを迎える子供たちも注目を集めている。

 「今後は子供たちがその夢の続きを見せてくれると期待しています」と矢作調教師。福永調教師も「第二の馬生、セカンドキャリアでも競馬史に残る活躍を期待しております」。コントレイルが空に描く“物語”にはまだ続きがある。(戸田 和彦)

 ◆コントレイル 父ディープインパクト、母ロードクロサイト(父アンブライドルズソング)。17年4月1日生まれ。北海道新冠町・(株)ノースヒルズの生産。現役時代は栗東・矢作厩舎に所属。総獲得賞金は11億9529万4000円。JRA賞は19年最優秀2歳牡馬、20年最優秀3歳牡馬、21年最優秀4歳以上牡馬。馬主は前田晋二氏。

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