◆第59回北九州記念・G3(6月30日、小倉競馬場・芝1200メートル、稍重)
サマースプリントシリーズ第2戦、第59回北九州記念・G3は30日、小倉競馬場で争われ、ハンデ53キロで3番人気の3歳牝馬ピューロマジック(松山)が好発から逃げ切り、葵Sに続く重賞2連勝を決めた。
スピードの絶対値が違った。ピューロマジックは抜群のダッシュ力でポンとハナに立ち、すぐに2馬身のリード。馬なりのまま、内からハナを主張しようとしたテイエムスパーダを封じ込めた時点で勝負ありだった。3歳同士の葵Sを逃げ切って初タイトル。今回は初の古馬相手だったが、開幕週でハンデ53キロの快速娘に競りかけることができる馬はおらず、3角では3馬身のリード。そのまま直線に向き、後続を半馬身差で振り切った。
前半3ハロン32秒3のハイペースだったが、余力は十分。松山は「(手綱を押さずに)抱えながら行けて、自分としてはそんなに速くない。スタートからすごいスピードで、この馬らしい競馬をしてくれてうれしかったです」と、ガッツポーズで喜びを爆発させた。
安田調教師にとっては、今春に定年引退した父・隆行元調教師から受け継いだ素質馬。1週前追い切りで初めてまたがり、その後もコンタクトを深めた。「前日輸送もすごく上手にこなして、環境の変化にエキサイトせず臨めました」と課題をクリア。ホッとした表情も見せ、馬主代理で表彰式に登場した父と喜びを分かち合った。
今後は、父が3連覇(11年カレンチャン、12、13年ロードカナロア)したスプリンターズS(9月29日、中山)が視野に入るが、トレーナーは「(中山の芝1200メートルは)待避所からゲートまでの距離が長くなりますからね」とイレ込む懸念のある気性面に言及。ゲート裏で待機する小倉とは異なるため、「(ゲートまで距離がある)中京を経験させた方がいいのか。馬の雰囲気を見ながら決めたい」とCBC賞(8月18日、中京)やセントウルS(9月8日、同)参戦の可能性も。ヨカヨカ以来、3年ぶりの3歳馬Vは、中山の電撃G1へ大きな可能性を感じさせるパフォーマンスだった。(玉木 宏征)
◆ピューロマジック 父アジアエクスプレス、母メジェルダ(父ディープインパクト)。栗東・安田翔伍厩舎所属の牝3歳。北海道新冠町・村田牧場の生産。通算9戦4勝。総獲得賞金は1億1041万円。主な勝ち鞍は、24年葵S・G3。馬主は(株)スリーエイチレーシング。