◆第60回CBC賞・G3(8月18日、中京・芝1200メートル、良)
サマースプリントシリーズ第4戦の第60回CBC賞・G3(中京)は、6番人気のドロップオブライト(幸)が首差の重賞初V。3月開業の福永祐一調教師(47)=栗東=は重賞8戦目で初制覇を飾った。
真夏の尾張に、笑顔の輪が広がった。今春開業した福永調教師が、CBC賞で重賞初制覇。「イェーイ」と穏やかにほほえみ、小さな拍手でドロップオブライトと幸を迎えた。終始控えめに喜んでいた師に対し、調教師仲間、他厩舎のスタッフなど関係者が握手攻め。猛暑に勝るほどの、熱い祝福の言葉が飛び交った。
23年2月にJRA通算2636勝で騎手を引退。レースで最後のバトンを受け取る立場から、託す立場に変わった。「パドックでいい状態で歩いていたし、そこまでがこっちの仕事だなと。いい状態で出せたことに満足感を持ったし、あとはおまけ。望外の喜びです(笑い)」と、“祐一節”で振り返った。
幸のエスコートにも感謝があふれた。「1番枠を最高に生かして、スタートを上手に出てくれた。しっかりポジションを取って、完璧に競馬してくれた」。終始ロスなく追走し、直線では巧みに間から進出。最後の競り合いでも粘り強さを引き出した。約1年5か月ぶりにコンビを組んだ鞍上は「福永祐一厩舎の初重賞(勝利)が僕で良かったのかなと思います」と謙遜しつつ、「こん身の仕上げをしてくださっていましたし、福永先生も自信を持って送り出してくれたので、あまり変な競馬はできない」と腕を見せた。
4月28日以来、勝利がなかった47歳の新人調教師だが、「やるべきことをやっていけば、結果は付いてくる」と焦りはなかった。ジョッキー時代と同じく冷静で、広い視野を持つ。「重賞を勝てる状態に仕上げられたことは厩舎の自信にもなりますし、重賞を勝てる馬を引き継がせてもらえたのは幸運。恵まれた環境にいると感じます」。このタイトルを自身の名誉にはとどめない。福永厩舎が一丸となって、さらに羽ばたくための足がかりにする。(水納 愛美)
◆ドロップオブライト 父トーセンラー、母プレシャスドロップ(父フレンチデピュティ)。栗東・福永祐一厩舎所属の牝5歳。北海道新ひだか町・岡田スタツドの生産。通算成績は20戦5勝。重賞初勝利。総獲得賞金は1億2691万7000円。馬主は岡田牧雄氏。