◆第69回ラジオNIKKEI賞・G3(7月5日・芝1800メートル・福島競馬場、稍重)
福島競馬場で行われた3歳ハンデ重賞のラジオNIKKEI賞は、8番人気のバビットが5馬身差で逃げ切り。落馬負傷した2年目の団野から急きょ乗り替わった内田博幸騎手(49)が3連勝での重賞初制覇に導いた。
落馬負傷した2年目、20歳の団野から急きょバトンが託された49歳の内田がバビットで“一発回逃”だ。芝の塊が乱れ飛ぶような重たい馬場で、最内枠からハナへ。4角も先頭でクリア。直線に入って左ムチで叱咤すると、相棒はさらに加速。ゴール前は後ろを振り返る余裕も見せ、流したまま、2着に5馬身差をつける圧勝劇を披露した。
「団野騎手にいい競馬をしてバトンタッチしたいと思っていた。まだ若いし、またいい馬に乗れると思う。これをバネにしてもらいたい」。地方、JRAで4000を超える白星を重ねてきた内田は引き揚げてくるなり、騎乗するはずだった若手を思いやった。
手本のような完璧なレースだった。浜田調教師とは2番手のケースも話していたというが、抜群のスタートを決め、「下げる必要はないと思った」と迷わず逃げの手に。馬場状態を考えれば、1000メートル通過は59秒6とやや速めだったが、4角手前で手綱が動きだす後続を尻目に、上がりも最速35秒8でまとめた。
これで休養を挟んでから3連勝での重賞制覇。「ジョッキーはスタミナがあるから距離を延ばしてもいいと言っていた。秋は菊花賞も視野にしていきたい」とトレーナーは力強く話す。パドックでは馬っ気を出すなど若さも見せたナカヤマフェスタ産駒。精神面での成長も遂げた先には、1強ムードの牡馬クラシック戦線に風穴を開ける存在になるかもしれない。(石行 佑介)
◆バビット 父ナカヤマフェスタ、母アートリョウコ(父タイキシャトル)。栗東・浜田多実雄厩舎所属の牡3歳。北海道浦河町・大北牧場の生産。通算5戦3勝。総収得賞金は5878万4000円。重賞初制覇。馬主は宮田直也氏。