【エリザベス女王杯】競走馬になれない危機乗り越えG1初挑戦の5歳馬 杉山佳調教師「強くなってきた」

朝焼けをバックにトレーニングに向かうコスタボニータ(カメラ・高橋 由二)
朝焼けをバックにトレーニングに向かうコスタボニータ(カメラ・高橋 由二)

◆第49回エリザベス女王杯・G1(11月10日、京都競馬場・芝2200メートル)

 コスタボニータ(牝5歳)は、杉山佳明調教師(40)=栗東=が開業した21年にデビューした厩舎の“看板娘”。G1初挑戦で女王を目指す。

 縁で結ばれた愛馬を、大舞台に送り出す。コスタボニータがエリザベス女王杯でG1に初挑戦。杉山佳調教師が開業した21年にデビューし、今年の福島牝馬Sで厩舎に重賞Vをもたらした“看板娘”だ。

 デビューが最初で最大の難関だった。右後肢の膝に、骨の中に空洞ができる「ボーンシスト」という疾患を持っており、競走馬になれない可能性もあったが、育成段階で克服。「馬はいいし、血統もいいからやってみるかと言われました」。杉山佳師が、同馬を生産した社台ファームで勤めていたつながりもあり、預託が決まった。

 21年の秋に入厩。初めての坂路調教が、師の目に焼き付いている。「こんないい馬、いないなと思いました。いまだに、あれを超える馬はいないです。跳びが大きいし、軽い走りをする。こういう馬で重賞を勝てるんだろうなと思いました」と衝撃を受けた。4歳2月にオープン入り。重賞でも好走を続け、6度目の挑戦で待望の初タイトルを手にした。

 コスタボニータのめい、イフェイオンも今年のフェアリーSを制覇。さらに、イフェイオンの全弟ミニトランザットも今週9日の京都5Rでデビューする。この牝系が厩舎の土台を築いている。「うちの開業元年の馬なので、G1にトライできるのはいいですね。徐々に強くなってきました」と思い入れはひとしお。深い絆を武器に、女王の座を目指す。(水納 愛美)

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