◆第60回アルゼンチン共和国杯・G2(11月6日、東京競馬場・芝2500メートル)
長距離ハンデ重賞の第60回アルゼンチン共和国杯・G2(6日、東京・芝2500メートル)には、前走の丹頂Sで6勝目を挙げたボスジラが重賞初Vを目指してアタック。スピードの持続力を武器にする遅咲きの6歳馬を血統企画「母を訪ねて」でチェックする。
偉大な父の代名詞である“切れ”よりも、米国血統の母系が紡いできたスピードとパワーを色濃く宿している。ディープインパクト産駒のボスジラは、タフなスタミナ型で、一般的な父の産駒のイメージとは異なるタイプだ。
16年のスプリングSを制した全兄マウントロブソンは、スピードの持続力から長く脚を使える競馬が持ち味だった。同じく全兄のポポカテペトルは、17年の菊花賞3着とステイヤー適性が高かった。兄妹に共通する特徴を踏まえて国枝調教師は「飛んで来るとか、切れがあるとかじゃなくて、この子も性格が穏やかで扱いやすいし、競馬にいけばちゃんと走る」と、長距離で折り合える気性の良さを評価する。
母ミスパスカリは、芝1800~2000メートルで3勝を挙げて、稍重馬場のマーメイドSで3着に好走した実績を持つ。その半兄クロフネは、NHKマイルC、ジャパンCダートで芝と砂でのG1を制覇。9馬身差で圧勝した武蔵野S(ダート1600メートル)で1分33秒3という芝のレースと変わらない時計を叩き出し、やはり母系に宿るスピードとその持続力の優秀さを物語る。
一族の特徴を受け継ぐボスジラにとっては、芝の長丁場は打ってつけの舞台だろう。6歳秋を迎えたが、国枝師は「成長していっても落ちることなく、長く使える感じ」と、遅咲きのベテランに期待を込める。札幌で計3勝と洋芝巧者のイメージも強いが、持ち味を生かせるような展開になれば、より力比べになりやすい府中の舞台でも侮れない。(坂本 達洋)