【有馬記念】馬に勝った盗塁王・福本豊さん、“脚予想”でディープボンドの筋肉に着目「パワーとスタミナの塊」

有馬記念で出走馬の「脚」診断に挑戦した福本氏(カメラ・豊田 秀一)
有馬記念で出走馬の「脚」診断に挑戦した福本氏(カメラ・豊田 秀一)

◆第67回有馬記念・G1(12月25日、中山・芝2500メートル)

 第67回有馬記念・G1(25日、中山)ウィークに、「世界の盗塁王」が参戦だ! スポーツ報知評論家で、現役時代に馬と競走して勝ったこともある元プロ野球・阪急の福本豊氏(75)が、出走馬の「脚」や走り姿をチェック。3冠王のヤクルト・村上宗隆内野手(22)の脚力のすごさに注目し、有馬記念で主役に躍り出る競馬界の“村神様”をズバリ指名した。

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 スポーツ報知はむちゃなことを頼んでくるわ。人間と馬では違うで、とは思ったけど、足(脚)は足(脚)―。有馬記念の出走馬の姿をじっくり見させてもらいました。

 野球選手でも足はほんまに大事。盗塁を多くするような選手はスピードと瞬発力が求められるけど、有馬記念は2500メートルを走るらしいので、やっぱりパワーとスタミナが必要。野球選手で見るなら、ふくらはぎやね。そこがパワーの源というか。ただ、最近の野球選手はシュッとしていてスマートで細く見えるけど、パワーを感じるふくらはぎといえば、セ・リーグの3冠王に輝いたヤクルトの村上。遠くへ飛ばす力、シーズン最終打席で日本選手シーズン最多の56号を打つあたりの精神力も見上げたものやけど、活躍の原動力になっているひとつは足。パワーはもちろんやけど、実は足そのものも速い。4番バッターなのでそうチャンスはないけど、盗塁を狙ったらかなりの数を稼げる脚力は持ってるで。

1983年4月、西宮球場での試合前に競走馬と勝負した福本氏(右)
1983年4月、西宮球場での試合前に競走馬と勝負した福本氏(右)

 今回の有馬記念の出走馬で“村神様”を探すならディープボンドやな。特に尻から後ろ脚への筋肉の肉付きがすごいな。パワーとスタミナの塊や。長い距離を走ったうえで、もうひと踏ん張り、瞬発力を繰り出せる脚やね。

 違うタイプで気になるのは、イクイノックス。脚と馬体のバランスが軽さを感じさせる。野球選手に例えるならソフトバンクの周東。足のスペシャリストで一瞬でトップスピードに入るように、きれいなフォームで走るこの馬も鋭い脚を使えるんちゃうかな。

 もう一頭挙げるなら、ヴェラアズール。しっかりした四肢で、走るフォームの重心がすごく低く飛んでいるような感じ。野球選手でも風の抵抗を受けにくい低いフォームの方がスピードが出る。昔の選手やけど、広島で活躍した高橋慶彦がだぶるイメージ。広島流の厳しい練習で培われた体にガッツが加わったいい選手やった。ヴェラアズールもスピードに乗れば一気にはじけそうや。

 僕と馬といえば、現役時代に西宮球場で競走したことを覚えてくれているファンもいるんちゃうかな(1983年4月)。人工芝からのスタートで馬が進んでいかなくて、人間の方が楽勝やった。ただ、数年後にテレビの企画で対戦した馬(ジンクピアレス)に会いに行ったことがあって、引退後に名古屋競馬場にいて誘導の仕事などをこなしていたんやけど、ダートコースで競走したら完敗。今ではいい思い出やわ。今年の有馬記念は“脚予想”がうまくいけば、いい思い出となるんやけどな。(スポーツ報知評論家・福本豊)

 ◆福本VS競走馬 1983年4月30日、阪急がアトラクションとして、西宮球場での試合前に、選手とサラブレッドの競走を開催。センターからマウンドまでの60メートル競走で、福本と当時所属していたバンプが出場し、ジンクピアレス号と対戦した。結果は1着・バンプ、2着・福本。馬がなかなかスタートしなかったため、予想外の結末に。面白がるファンもいた一方で「客寄せとはいえ、選手がかわいそう」という声も。

 ◆福本 豊(ふくもと・ゆたか)1947年11月7日、大阪府生まれ。75歳。大鉄高(現阪南大高)、松下電器(現パナソニック)を経て68年ドラフト7位で阪急に入団。2年目から13年連続盗塁王。72年はプロ野球記録の106盗塁でMVP。通算1065盗塁は当時の世界記録。ベストナイン10回、ダイヤモンドグラブ賞(現ゴールデン・グラブ賞)12回。88年限りで引退し、オリックス2軍監督などを務めた。2002年に野球殿堂入り。

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