◆有馬記念追い切り(21日、美浦トレセン)
連覇を狙うエフフォーリアは、松井中央(なかお)記者が厳しい評価。それでも昨年の年度代表馬だけに、直前気配にも要注意だ。
エフフォーリアは美浦・Wコースで3頭併せ。トロワシャルム(5歳1勝クラス)、エフフォーリア、ルッジェーロ(7歳オープン)の順にスタート。ゆったりした入りでも力みは見られず、道中の折り合いもスムーズ。直線で真ん中に進路を取ると手綱はほぼ動かなかったが、スムーズな加速で前者に1馬身、後者に半馬身先着。1週前にしっかり負荷をかけており、この日は5ハロン70秒0(6ハロン85秒8)―11秒3としまい重点ではあったが、動きに重苦しさはなかった。
鹿戸調教師は「3頭併せの真ん中で最後までファイトさせるような追い切りでしたが、時計もまずまずだったし、ゴールを過ぎても緩まずに1角過ぎまで行って、いいけいこができたと思う」と好感触。さらに「夏をゆっくり過ごせて脚元の不安もなくなり、トレセンに戻ってきてからは、ビシビシ調教を積み重ね、いい状態でレースに向かえる準備はできた」と語るように仕上がりに不安は感じられない。
追い切りに騎乗した横山武も「春と比べると手前の替え方が良くなっている。体が使えるようになってきているからだと思う」と動きには及第点。ただし、「春よりも出てきたとはいえ正直、去年のいい頃に比べると、前進気勢が物足りない」との言葉にはうなずかざるを得なかった。
記者は今月入社の馬トク班の新顔だが、これまでは別のところで競馬記者をしてきた。だから、昨年の天皇賞・秋の追い切りで見せたうなるような闘志や気迫を知っている。年齢を重ねたことで大人になったとも言えるが…。「今のエフフォーリアを受け止め、どうアプローチをしていけるかが大事」と率直に語る横山武。この言葉をどう解釈するかだが、この日の気配だけで判断させてもらうと完全復活とは言いがたい。(松井 中央)