◆第83回桜花賞・G1(4月9日、阪神・芝1600メートル)
テン乗り巧者を鞍上に迎えたハーパーが、1強ムードに待ったをかける。重賞初制覇の前走・クイーンCでコンビを組んだ川田が、今回は大本命の2歳女王リバティアイランドに騎乗。陣営が白羽の矢を立てたのがルメールだった。
先月30日の1週前追い切りが初コンタクトとなった。栗東・CWコースで3頭併せ。直線に入って僚馬2頭が急加速したため追いつけなかったが、6ハロン83秒4―11秒0とゴール前は鋭く伸びた。鞍上は「いい追い切りができた。反応は遅れたけど、ラスト200メートルはとてもいい脚を使ってくれた。コンディションは良さそう」と上々の感触をつかんだ。
17~21年に5年連続で全国リーディングを獲得した名手は、これまでG1を43度制覇。テン乗りで9勝を挙げており、さらに近3年のラッキーライラック(20年エリザベス女王杯)、クロノジェネシス(21年宝塚記念)、スターズオンアース(22年オークス)など、うち6勝が牝馬にビッグタイトルを届けている。
自身のJRA・G1初勝利は05年の有馬記念。単勝1・3倍の一本かぶりだったディープインパクトに初めて土をつけた。今年の牝馬クラシック第1戦は先月9日に天国へ旅立った、そのハーツクライの産駒で参戦。「顔は似ている(笑い)。背中が細くて(体形や走りは)ディープっぽい。前走はいい瞬発力を使っていた。1600メートルもちょうどいい」と、柔和な表情の中に闘志をにじませた。
レースでは持ち前の切れ味を最大限に引き出すつもりだ。最終追い切りにまたがる可能性も示唆したルメールは「まだ少し良くなりそうな感じがあった」と、さらなる上積みも見込む。人馬ともに万全の態勢を整え、18年前の年末にも負けない番狂わせを起こす。(吉村 達)