◆桜花賞追い切り(5日、栗東トレセン)
牝馬クラシック初戦の第83回桜花賞・G1(9日、阪神)の追い切りが5日、東西トレセンで行われた。2戦無敗のライトクオンタムはシンザン記念V以来の課題克服へ向けた調整を水納愛美記者が「見た」。きょう6日に枠順が決定する。
ライトクオンタムの最終追い切りは「点」ではなく「線」で見るべきだ。栗東・CWコースで半マイルのみ。序盤はキャンター調整と見間違えるほどのペース。57秒1―12秒3の時計も示すようにかなり軽い内容だった。しかしこれは想定通り。自ら騎乗した武幸調教師は「今日どうのこうのというより、長いプランでやってきたので、順調にきたなという感じです」と冷静だった。
「長いプラン」の実現にはシンザン記念の勝利が不可欠だった。調教の段階から右に張る癖があり、競馬でもそれが出た。勝った直後に武豊が馬上から指摘した最重要課題で修正は必須。指揮官が「勝ち切ってくれたことによって桜花賞まで時間を取れた」と話すように、この一勝の意味は大きかったはずだ。
本番までゆとりを持てたため、レース後あえて約2週間在厩。しっかりハミ受けを矯正させた。「前走時よりはだいぶ改善されている」とトレーナーが言えば、1週前追い切りに騎乗した武豊も「シンザン記念のときと比べると随分真っすぐ走ってくれるようになった」。両者が成長を実感しているのは心強い限りだ。
国内で6頭しかいないディープインパクトのラストクロップ。前走での父をほうふつさせるような大外一気を見れば、期待せずにはいられない。それは武豊も同じ。「まともに走ったのは直線だけ。2戦目で、男馬相手にそれで勝つんだから能力はある」。粗削りでも、確かな素質を評価していることが伝わってきた。
先週の大阪杯で史上最年長G1勝利を達成した鞍上。「ちょっとずつ伸ばしていくわ」とおどけながらも、記録更新に意欲十分なはず。同じく兄弟タッグだった昨年のウォーターナビレラは鼻差2着で桜冠を逃した。弟・幸四郎調教師にG1初制覇をもたらすのは、このレジェンドしかいない。(水納 愛美)