JRAは3日、競馬開催中に通信機器(スマートフォン) を不適切に使用し、競馬の公正確保に関する業務上の注意義務を怠ったとして、今村聖奈(19)、永島まなみ(20)、古川奈穂(22)、小林美駒(18)、河原田菜々(18)、角田大河(19)の6騎手を5月13日から6月11日まで30日間(開催日10日間)の騎乗停止にしたと発表した。すべてデビュー3年目までの複数の騎手が同時に処分される異例の事態となった。
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Q 6人の騎手が騎乗停止1か月の処分を受けた。
A 競馬など日本の公営競技では、公正確保の観点から、開催前日から外部と接触することを禁じている。JRA(中央競馬)の場合、調整ルームという外部と遮断された場所に入るのがルール。当然、携帯電話などで外部と通信するのは規則違反。今回は日本中央競馬会競馬施行規程第147条19号「競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者」として裁決委員による処分となった。
Q 不服がある場合は?
A 裁定委員会に不服申し立てができる。当該裁決のあった日の翌日から起算して2日以内に保証金10万円を添え、書面をもって行う。
Q 調整ルームとは?
A 各競馬場と美浦、栗東の両トレセンに併設されている。外部との接触の禁止が目的で、各騎手はレース前日の午後9時までの入室が義務づけられ、室内で携帯電話などの通信機器は使用禁止。外出は開催日の調教騎乗時に限られる。また、コロナ禍以降は感染拡大防止のための特例的措置として、JRAが認めた自宅やホテルなど所定の場所を「認定調整ルーム」とし、騎乗当日に競馬場への移動を認める運用が実施されている。
Q JRAで過去に調整ルームでの通信機器の不適切使用で騎乗停止になったケースは?
A 11年5月に大江原圭騎手がツイッターを閲覧した際に誤ってリツイート。13年7月に原田敬伍元騎手が友人のツイートに複数回返信。15年3月にルメール騎手が知人からのツイートを2度リツイート。16年10月に丸山元気騎手が優勝した馬の厩務員に対して祝福メールを送信。いずれも30日間の騎乗停止処分となった。
Q ジョッキールーム内での通信機器の不適切使用の事例は過去にあったのか。
A 職員が発見したケースも含め、今回が初めて。
Q 処分の重さについて。
A ボートレースでは電子手帳を持ち込んで「1年間の斡旋(あっせん)停止」という処分が出たこともある。騎手同士が電話で会話していたことは重大な問題だが、外部との通信が認められなかったため、これまでと同様の期間になったとみられる。