◆第73回安田記念・G1(6月4日、東京競馬場・芝1600メートル)
名門の栗東・安田隆厩舎も解散まで残り9か月となった。岩本龍治助手(46)はロードカナロア、カレンチャン、ダノンスマッシュ、そして安田記念でG1・2勝目を狙うダノンスコーピオンによる昨年のNHKマイルCを加え、担当馬でJRA・G1・8勝。厩舎のG1・14勝の半数以上を手がけてきた。追い切りに乗ることはほとんどなく、「(調教の)乗り手と話ができるので、任せられます。チームでやれてありがたいです」と信頼関係に感謝する。
一番の思い出は、担当馬でワンツーフィニッシュを成し遂げた12年のスプリンターズSだ。2番人気のロードカナロアがG1初勝利を挙げてそこから快進撃が始まるが、1番人気に推されたカレンチャンは3/4馬身差の2着に敗れた。「すごくかわいかった馬。カナロアと同着が良かった」と、複雑な心境だったという。
07年2月までは瀬戸口厩舎で腕を磨いた。厩舎が解散する日の最後のレースを、岩本助手が担当するエイシンボストンが勝利。鞍上は、くしくも今回、ダノンスコーピンが初コンビを組むMデムーロだった。「つながっていましたね。スコーピオンは口向きが難しいんですが、ミルコは合うと思います。まだ長く続けたいですが、(定年解散は)仕方ありません。先生に恩返しできるように」。厩舎最後の1年に、不思議な縁がある鞍上と大仕事をするつもりだ。(玉木 宏征)
◆岩本 龍治(いわもと・りゅうじ)1976年6月24日、滋賀県出身。46歳。父・幸治さんは栗東・坂口正則厩舎(19年に解散)の厩務員で、エイシンバーリン、エイシンサンサンなどの重賞馬を手がけた。ダノンスコーピオンには、父ロードカナロアにもあったという繊細さをみる。「若い時の女の子っぽさが似ています」