◆第28回秋華賞・G1(10月15日、京都競馬場・芝2000メートル)
デビュー8年目にして勝率、連対率ともに自己最高(12日現在)の成長を続ける坂井瑠星騎手(26)=栗東・矢作厩舎=が、第28回秋華賞(15日、京都)で連覇に挑む。2冠牝馬リバティアイランドの壁は高いが、昨年も2冠牝馬を撃破し自身初のG1勝利を挙げたレースで、今回はリバティに唯一の黒星をつけたラヴェルが相棒だ。今週末からはコラム「Shooting Star」(スポーツ報知で土、日曜掲載)もスタート。第1回を前に競馬観などをたっぷり語った。
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スポーツ報知の読者の皆様、坂井瑠星です。今週から僕のコラム「Shooting Star」がスタートします。レース後のインタビューだけでは伝え切れないレース前の心境や、レース映像だけでは伝わらないこと。プラスで、プライベートについても話していけたらなと思います。坂井瑠星ってこういうジョッキーなんだ、と少しでも多くの方に知ってもらいたいです。
競馬のことが好きな気持ちは、誰にも負けないと思っています。それはジョッキーとしての強みですね。誰よりもレースを見ていると思います。月曜日の休みには絶対に全レースの映像を確認しますし、もちろん海外競馬もチェックしています。勉強とかそういう意味ではなくて、単純に好きだから見ているという感じですね。趣味=競馬です。
競馬のどこが好きかと聞かれると難しいですが、一番のきっかけは、父(大井競馬の英光調教師)がジョッキーをやっていたこと。父に勝ってほしくて、自然と相手関係とかも分析するようになり…。気付いたら、小学生で南関東の馬を全部知っているほどでした。多分、誰よりも詳しかったはずです。それがずっと続いている感じで、競馬は生活の一部。競馬がなかったら自分は何をしているんだろう、と考えます。実は1年目の16年に、まだ騎手だった父と初めて同じレース(11月1日、川崎11R)で騎乗しました。一緒に乗れたのは、とてもいい思い出です。
目標は、どんな馬でも走らせられるようになること。そして、世界中どこにでも呼ばれて、「G1があるから依頼しよう」と思ってもらえる騎手になることです。海外のビッグレースでも当たり前に乗って、当たり前に勝つ。そういうジョッキーになりたいし、そこを目指して頑張ります。
今週の秋華賞は、自厩舎のラヴェルと挑みます。スタニングローズに騎乗した去年の秋華賞でJRA・G1を初めて勝ちましたが、もう1年たったかというのが正直なところです。今年も2冠のリバティアイランドがいますが、競馬に絶対はありません。ラヴェルも能力はG1級だと思いますし、実際1回(アルテミスSで)負かしています。折り合いさえつけばいい脚を使ってくれるので、力を引き出して、僕は秋華賞を連覇できるように頑張ります。昨年の振り返りや追い切りの感触については、レース当日に詳しくお伝えします。(JRA騎手)
◆ラヴェル、メンタル成長
連覇を狙う坂井が騎乗するのは、所属する矢作厩舎のラヴェルだ。昨年のアルテミスSでリバティアイランドを破って重賞制覇。女王に先着したことがある唯一の馬だ。
11日に栗東・坂路の最終追い切りで800メートル54秒0―12秒0を出し、12日は厩舎周りの運動で体をほぐした。「追い切った後もピリピリした感じがなく、メンタル面の成長を感じます。前走を使って息遣いが良くなっています」と担当の福岡助手。前走のローズは14着惨敗だったが、「折り合えば速い上がりの脚が使えますし、能力は素晴らしいものを持っています。何とか結果で示したいですね」と大舞台での一変を期待した。
◆坂井 瑠星(さかい・りゅうせい)1997年5月31日、東京都生まれ。26歳。16年3月に栗東・矢作厩舎からデビュー。19年報知杯フィリーズレビュー(ノーワン)で、同着での重賞初制覇を果たす。JRA通算370勝、重賞13勝(うちG13勝)。海外では22年ゴドルフィンマイル(ドバイ)、今年の1351ターフスプリント(サウジアラビア)で重賞2勝。今月9日の南部杯など、交流重賞は3勝(うちG12勝)。170センチ、48キロ。