◆第84回菊花賞・G1(10月22日、京都競馬場・芝3000メートル、良)
第84回菊花賞・G1が22日、京都競馬場で行われ、4番人気のドゥレッツァがダービー馬のタスティエーラ、皐月賞馬のソールオリエンスを抑えて、5連勝でラスト1冠に輝いた。スタート直後にハナに立つ好判断で勝利に導いたクリストフ・ルメール騎手(44)=栗東・フリー=は、同レース3勝目。90年メジロマックイーン以来33年ぶりとなる重賞初挑戦Vの快挙を果たしたドゥラメンテ産駒の今後が注目される。
ダービー馬も皐月賞馬も寄せ付けなかった。晴れ渡る淀の空のもと、大歓声に包まれたドゥレッツァが、自身の力を誇示し続けて鮮やかな菊の大輪を咲かせた。
まさに直線は独壇場。ルメールは「後ろから強い馬が来るかもしれない、と思っていたけど、ラスト150メートルくらいで勝ったと思った」と早々と勝利を確信していた。最後は2着のタスティエーラに3馬身半差をつけ、ソールオリエンスとのクラシックホース2頭を完封。菊3勝目となった名手は、破竹の5連勝でG1馬となった相棒の頭をなでてたたえた。
長距離戦で不利なはずの大外枠で神騎乗を見せた。スタートを決め、二の脚がついたところで、行く気に任せてデビュー6戦目で初めての逃げの手を選択。1周目の直線の入り口ではハナに立ってラチ沿いのポジションをゲットし、スタミナの消耗を最小限に抑えて進めることができた。「馬が判断しましたね。逃げたことがなかったので、ハナに立ったときはびっくりして物見した。息が入ってマイペースで走ってくれた」と思わぬ“副産物”もあった。
向こう正面で、パクスオトマニカとリビアングラスが来ると一度は先頭を譲って、3番手でじっと息を潜め脚をためた。「休養できたし、息も入った」と淀名物の坂の下りで勢いをつけ、直線に入ると自慢の末脚を爆発させるだけ。4角2番手からラスト3ハロンはメンバー最速の34秒6では、後続はなすすべがなかった。
1984年のグレード制導入以降、重賞初挑戦での菊花賞制覇は、90年のメジロマックイーン以来3頭目。春は脚元の状態が整わずクラシック路線に乗れなかったが、33年ぶりの快挙も成し遂げた。次走は未定だが、香港国際競走(12月10日、シャティン競馬場)に登録済み。今後は歴戦の古馬に挑むが、ルメールは「今日は3000メートルでしたが、2000メートルでも2400メートルでもG1レベルで結果を出せると思う」と確信。ラスト1冠を手にしたドゥレッツァが描く物語には、まだ続きがある。(戸田 和彦)
◆ドゥレッツァ 父ドゥラメンテ、母モアザンセイクリッド(父モアザンレディ)。美浦・尾関知人厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算6戦5勝。総獲得賞金は2億7927万1000円。重賞初勝利。馬主は(有)キャロットファーム。