今年のサウジCなど海外G1・2勝を挙げたパンサラッサ(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎、父ロードカナロア)が現役を引退することが11月28日、正式に決まった。今後は北海道新ひだか町のアロースタッドで種牡馬になる予定。現在、引退式を行う方向で調整されている。
遅咲きの超個性派だった。2歳9月にデビューするも、オープン初勝利は大逃げの手に出た4歳10月のオクトーバーS。矢作厩舎に所属した同世代のコントレイルのラストランだったジャパンCの2週前に行われた福島記念で重賞初制覇を飾った。
5歳になった2022年以降は徹底先行を貫き、後続を引き離す逃げが多くのファンに愛された。2022年3月のドバイ・ターフでロードノースと同着ながらもG1初制覇。さらに翌年のサウジCはいつものように大逃げではなかったが、直線でも脚いろが鈍らず。しぶとく後続の追い上げを振り切り、世界最高額の優勝賞金となる1000万ドル(13億1864万9700円)を手にした。
イクイノックスがG1・6連勝を飾った2023年11月26日のジャパンCがラストランとなった。そのイクイノックス相手に2着に逃げ粘った昨年の天皇賞・秋以来となる約1年1か月ぶりの国内戦出走で、前半1000メートル57秒6というハイペースの逃げを打ち、道中は後続を大きく突き放したが、直線で伸びを欠いて12着に沈んだ。
通算27戦7勝(うち海外4戦2勝)。総獲得賞金は歴代4位の18億4466万3200円だった。
矢作調教師「レース後も問題ありませんが、最初から年内で引退と考えていたし、いい引き際なのかな、と。欲を言えば、キリがないですから。
(パンサラッサには)本当に勉強させられました。馬というのは分からない。コントレイルと同じ世代で、素質は全く違うと思っていたのに、ここまでの馬になるとは想像もしていなかった。
ファンの多い馬だったし、自分にとっても個性的な逃げ馬をつくりたいという思いを持っていました。つくろうと思っても、つくれるものではない。それは彼の資質だったと思います。心に残る馬でしたね。終わりだと思うと、グッとくるものがあります」