【有馬記念】武豊騎手「最強パートナー」ドウデュースと人馬復活へ 感動呼ぶクリスマスイブのグランプリ

照明に照らされながら、17日の調教へ向かうドウデュース(カメラ・岩田 大補)
照明に照らされながら、17日の調教へ向かうドウデュース(カメラ・岩田 大補)
特別な相棒と復活Vを狙う武豊
特別な相棒と復活Vを狙う武豊
17日もCWコースで軽快に脚を伸ばした(カメラ・岩田 大補)
17日もCWコースで軽快に脚を伸ばした(カメラ・岩田 大補)
武豊騎手の有馬記念
武豊騎手の有馬記念

◆第68回有馬記念・G1(12月24日、中山競馬場・芝2500メートル)

 今年も豊サンタが舞い降りる。暮れの大一番、第68回有馬記念・G1は24日、中山競馬場の芝2500メートルで行われる。武豊騎手(54)=栗東・フリー=は21世紀に2度行われたクリスマスイブのグランプリでともに勝利。今年は昨年のダービー馬ドウデュースに騎乗する。右太ももの負傷でリハビリ中だった今秋は心の支えになっていた大切なパートナー。特別な思いを胸に、人馬ともに復活への大きな一歩をしるす。

 もう一度、頂点へ。武豊とドウデュースが、京都記念以来315日ぶりにコンビを組み、有馬記念に挑む。約1か月半の休養から16日に戦列復帰したばかりだが、「なかなかコンビが成立しなかった。ドウデュースと出られる有馬記念にワクワクしている」と胸を高鳴らせた。

 10月29日の東京競馬でレース後に騎乗馬に蹴られ、右太ももを負傷。同日の天皇賞・秋はドウデュースがドバイ・ターフを出走取消となって以来の復帰戦だったが、無念の乗り替わりとなった。診断は筋挫傷だったが、「医者がびっくりするぐらい」の重傷。右脚全体が腫れた上、内出血もひどく、3回も血を抜いた。

 リハビリに励む日々では、相棒の存在が支えだった。調教騎乗を再開した8日には「有馬記念でドウデュース(に乗る)っていうのがなかったら、今日俺、トレセンで乗ってないと思う」と吐露。「ジョッキーとして、強い馬のパートナーでいたい。そういう馬がいるといないでは大違い」と特別な思いを明かした。

 自身が騎乗できなかった天皇賞・秋(7着)、ジャパンC(4着)はともにテレビで観戦。デビューから全戦で手綱を執ってきたため、第三者の目でレースを見るのは初めてだった。「勝ってほしい。最強馬であってほしい。負けてほしくない」。情熱をほとばしらせながらも「冷静に見なあかん。ゲートどうかな、返し馬どうかな。道中力んでるなとか、いい感じやなとか」と“親心”で見守った。

 21世紀以降、クリスマスイブに有馬記念が行われたのは06、17年の2回。いずれも武豊が勝っている。06年はディープインパクトの引退レースで、3馬身差の完勝。「ディープインパクトでベストレースは?と言われたら、最後の有馬記念と答えられる」と言い切る。17年のキタサンブラックは前年に2着と惜敗し、2年越しでつかんだ有終V。「最後いいパフォーマンスだった。みんなが笑顔だった気がする」と懐かしんだ。

 今年のテーマは「人馬ともに復活」。06、17年とは対照的に、再始動という節目を迎える。「現役で僕にとっては最強のパートナーですからね」と表情を引き締めたレジェンド。武豊とドウデュースが、聖夜の一等星となる。(水納 愛美)

 ◆2006年の有馬記念 単勝1.2倍で支持率70.1%の圧倒的な1番人気だったディープインパクトに騎乗。勝負どころで後方から押し上げると、直線では軽く促す程度でアッという間に先頭に立った。ゴール前100メートルは流すように3馬身差の圧勝。G1・7勝目で有終の美を飾った。「最後は一番やったね、今までで。4コーナーとか強烈やった」

 ◆2017年の有馬記念 4歳時から主戦を務めたキタサンブラックのラストランは発馬を決め、楽に逃げる形に持ち込んだ。4コーナー過ぎの仕掛けで後続との差を広げると、直線でも脚いろは全く鈍らず。1馬身半差の完勝でG1・7勝目を挙げ、当時の総獲得賞金トップに立つ有終Vだった。「前の年に首差で負けて、その意識が強かった」

 ◆復帰ウィークの武豊 16日は中山、17日は阪神で重賞1鞍ずつを含む計4鞍に騎乗した。復帰戦だった16日のターコイズSでソーダズリングで4着に入ると、朝日杯FSでは4番人気のエコロヴァルツで力強い伸び脚を引き出し、2着を確保。いきなり存在感を見せつけた。

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