◆ジャパンC・G1(11月26日、東京・芝2400メートル、18頭立て=良)
毎年7月になると、福島県にあるノーザンファーム天栄に足を運んで取材させてもらっている。テーマは「有力馬の夏休み」。昨年はダービー2着後、今年は宝塚記念を制した後のイクイノックスがお目当てだった。
至近距離でジックリ観察させてもらえるのは牧場取材の醍醐味。確かにこの1年間で馬体は成長していた。ただ、過去に同じ状況で見せてもらったレイデオロ、アーモンドアイなどと比べると、馬体に頼りなさを感じたのも事実だった。
父キタサンブラックのキャリアハイは5歳時のG1・4勝(4歳時2勝、3歳時1勝)。この馬も馬体の完成は来年なんじゃないか―。そんな考えから、これまで本命を打ったイクイノックスのレースのなかで、ジャパンCが最も自信がなかった。まだ成長途上なのだとしたら、レコードVの天皇賞・秋から中3週で不発に終わるかもしれないとの不安を払拭できなかったからだ。
結果はご存じの通り、牝馬3冠リバティアイランドを4馬身突き放す圧倒的なパフォーマンス。記者の心配はまったくの的外れだった。その数日後に引退、種牡馬入りが発表され、最強王者のままターフを去ることになった。
競馬に「たられば」は禁物だが、来年も現役続行していたら、とんでもないパフォーマンスが見ることができたのでは、と今でも思っている。(西山 智昭)