◆ドバイ・ターフ追い切り(27日・メイダン競馬場)
ドバイワールドカップデーの諸競走に出走する日本勢が、メイダン競馬場で最終追い切りを行った。ドバイ・ターフに出走するドウデュースは抜群の動きで、その迫力を水納記者が「見た」。
見とれた。芝コース5ハロンで最終追い切りを終えたドウデュースの、最後の伸び脚。例えるなら…重戦車が、弾丸のスピードで駆け抜けた。高速回転する四肢だけ見れば、騎乗した前川助手は軽く促す程度だったのが信じられない。ゴール板を過ぎても、まだ伸びている。その姿を見つめながら、「レースみたいだったな…」とぼう然としていた。
2週前追い切りでは、栗東・CWコースで6ハロン79秒5―11秒0の猛時計。現地では軽めだろう、という予想を、いい意味で裏切られた。さらに、友道調教師が「こちらの計測で(ラスト1ハロン)10秒台。無理していなくてあの時計」と言うのだから驚くほかない。“やりすぎ”の心配もなさそうだ。
何より安心したのは、追い切り後のメディカルチェックを一発でクリアしたこと。左前肢ハ行のため、レース2日前に出走取消となった昨年を思えば、ここが最大の壁だったと言っても過言ではない。「『This year is OK』と言われました」とほほ笑む指揮官を前にして、私も思わず頬が緩んだ。
この日の記者会見では、友道師にイクイノックスに関する質問も飛んだ。世界最強馬を負かした馬としての立場を問われ、「先に引退して種牡馬になったイクイノックスの価値も、ドウデュースのドバイの結果で一層上がると思う」。世代を引っ張ってきた2頭のうち、片方がターフを去っても、まだ切磋琢磨(せっさたくま)が続いている―。そう考えると、胸がじんわり熱くなった。
悲運に見舞われた昨年のリベンジ。そして“三度目の正直”となる海外G1勝利に向けて、不安はない。そう言い切れる。(水納 愛美)