ドバイワールドカップデーが3月30日にUAE・ドバイのメイダン競馬場で開催される。小欄ではG1ドバイシーマクラシック(芝2410メートル)のステップレースとして、オーギュストロダンが勝った昨年11月4日のG1BCターフ(米サンタアニタパーク競馬場・芝12ハロン=11頭立て)を取り上げたい。
2010年以降、前走BCターフ組はドバイシーマクラシックで(2・2・0・4)。2010年ダーレミ、2013年セントニコラスアビーが勝利している。
オーギュストロダン(牡4歳、愛・Aオブライエン厩舎)は中団8番手を追走し、最終コーナーでは内ラチ沿いから進出。直線でも最内を強襲して先頭に立ち、そのまま押し切った。勝ち時計は2分24秒30(良)。
3/4馬身差の2着に米国調教馬で米G1マンハッタンSなどG1・3勝のアップトゥザマーク。先行策からしぶとく粘った。
2022年のドバイシーマクラシックを制したシャフリヤール(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)が勝ち馬から1馬身1/4差の3着。道中7番手に構えて、最後の直線では馬群を割って伸びた。
レースラップを振り返ると、前半4ハロン(800メートル)が48秒79、中間4ハロンが48秒21、後半4ハロンが47秒30。緩急の少ない平均ペースだった。鞍上のライアン・ムーア騎手にとって想定通りの展開ではなかったようだが、オーギュストロダンはサンタアニタのような小回りコースで早め先頭から押し切るという要求に見事応えた。管理するエイダン・オブライエン調教師のコメントを借りれば、「彼はスーパーホース(英レーシングポスト)」なのだろう。
ドバイシーマクラシックへ向けた展望としては、オーギュストロダンは首位候補だ。上がり3ハロン33秒01の決め手で制したG1英ダービーをはじめ、G1愛ダービーとG1愛チャンピオンSの勝利もそうだったように良馬場でスピードを生かすタイプ。メイダンの芝は合うだろう。
シャフリヤールはノドの手術を乗り越えて好走し、地力の高さを示した。その後、現地主催者の判断により香港で出走できなかったことは残念だが、帰国して有馬記念に臨み5着。ドバイシーマクラシックで対戦するメンバーとの比較では、2着スターズオンアースとは0秒2差、4着ジャスティンパレスとはタイム差なし。衰えは見られず、2022年に勝利を掴んだ舞台で復活があってもいい。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。