G1ドバイシーマクラシックが30日に迫った。過去5回の調教国別成績を調べると、日本が2勝、UAEが2勝、イギリスが1勝。オーギュストロダン(牡4歳、愛・Aオブライエン厩舎)とシャフリヤール(牡6歳、栗東・藤原英昭厩舎)については前哨戦分析をご覧いただくとして、小欄ではそのほかの有力馬をチェックしたい。
イギリスのエミリーアップジョン(牝5歳、ゴスデン厩舎)は、昨年の英G1コロネーションC(芝12ハロン6ヤード)の覇者。G1愛ダービー馬で昨年のドバイシーマクラシックとG1凱旋門賞で2着の実績もあるウエストオーバーに1馬身3/4差をつける完勝だった。瞬発力に優れた末脚が武器で、メイダンの芝も合う。ゴスデン厩舎は昨年のモスターダフこそ4着だったが、2010年ダーレミ、2017年ジャックホッブス、2021年ミシュリフで当レースを3勝している。
リバティアイランド(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)の強さは筆者の説明など不要だろう。ワールドベストレースホースランキングでは、オークス1着とジャパンカップ2着の走りにレーティング121が付与され、前記エミリーアップジョンと並んで2023年の牝馬のトップタイとなった。つまるところ、今回は2400メートル級における現役最強牝馬はどちらか、英国の女傑と白黒をつける大一番でもある。
スターズオンアース(牝5歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)も説明不要と思う。ジャパンカップではリバティアイランドから1馬身差の3着。当時は斤量差が2キロあったが(リバティが54キロ、本馬が56キロ)、今回は0・5キロに詰まる(リバティが54・5キロ、本馬が55キロ)。短絡的だが、ジャパンカップの差を逆転できる計算が成り立つ。
ジャスティンパレス(牡5歳、栗東・杉山晴紀厩舎)も繰り返しで恐縮だが説明不要か。ディープインパクト産駒が必ずしも得意としない小回りコースの宝塚記念で2着。秋の天皇賞でも怒涛の追い込みで2着と中距離のスピード勝負にも強い。総合力の高いステイヤーという印象で、世界をアッと言わせる可能性も十分ありそうだ。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。