【宝塚記念】16年ぶり重馬場 道悪巧者が大外一気 菅原明良騎手&ブローザホーンがG1初制覇

ブローザホーン(中央)が大外一気に突き抜けた。2着にソールオリエンス(右端)が続き、ドウデュース(左端)は6着(カメラ・高橋 由二)
ブローザホーン(中央)が大外一気に突き抜けた。2着にソールオリエンス(右端)が続き、ドウデュース(左端)は6着(カメラ・高橋 由二)

◆第65回宝塚記念・G1(6月23日、京都競馬場・芝2200メートル、重)

 春のG1シリーズを締めくくる第65回宝塚記念は23日、06年以来18年ぶりに京都競馬場で行われた。08年以来16年ぶりの重馬場となったグランプリは豪雨のなか、3番人気のブローザホーンが大外一気の豪脚で2馬身差V。大胆に導いた菅原明良騎手(23)=美浦・高木厩舎=、吉岡辰弥調教師(48)=栗東=と、人馬ともにG1初制覇を飾った。ファン投票1位で1番人気のドウデュースは6着に敗れた。

 無数のしずくを突き破った。ブローザホーンは、わずか428キロの馬体からあふれんばかりのパワーを放ち、京都・外回りの直線へ。大外に進路を取ると重馬場に脚を取られる他馬を次々にパスし、豪快に伸びる。残り約100メートルで先頭に立つと、もう誰も追いつけない。2馬身差でG1初制覇。菅原明は「とても気持ち良かったです!」と真っ白な歯をのぞかせた。

 前日の降雨により、芝は重でスタート。この日も完全にはやまず、道悪巧者に流れが向いた。レース中の土砂降りも、もはや祝福のシャワー。菅原明は「いつもと変わらず走ってくれました」と絶賛。吉岡調教師は「この1週間、天気予報はずっとチェックしていました」と安どの笑みを浮かべた。

 6年目にしてG1ジョッキーに輝いた菅原明。「ものすごくうれしい。ちょっとずつ実感が湧いてきました」と、初々しさ全開で喜んだ。22年NHKマイルCで、最低18番人気のカワキタレブリーで3着と激走し、「勝ちが見えた」と“上”を意識。今年はここまで26勝と、通算70勝した昨年を下回るペースだが、「勝てたらいいアピールになると思って挑みました」と反骨精神で壁を越えた。

 開業5年目の吉岡調教師もG1初勝利で、「まだ信じられないです」と感無量。ブローザホーンは、今春解散した美浦の中野栄治厩舎から受け継いで転厩3戦目、2着だった前走の天皇賞・春に続くG12戦目でのグランプリ制覇。それでも「G1を勝って恩返しできたかな」と謙虚な姿勢。京都府出身の48歳は故郷に錦を飾り、「すごく縁も感じる。すごくうれしい」と目尻を下げた。

 イクイノックス世代の5歳馬がまたも躍進。同世代のドウデュース、ジャスティンパレス、1歳下のソールオリエンス、ベラジオオペラのG1馬4頭を完封した。「馬と一緒に成長して、G1や大きい舞台でまたいい結果を残せたら」と菅原明。年内は国内で新たなタイトルを狙うことになりそうだ。新進気鋭のトレーナーも加えたフレッシュなトリオで、晴れやかな未来を描く。(水納 愛美)

岡田牧雄氏「年内は国内専念」

 〇…馬主で、生産した岡田スタツドの代表でもある岡田牧雄氏は現地でレースを見守った。同じく生産馬のタイトルホルダーが勝った22年は足を運ばなかったが、今回は「もしかしたらと思って来ました」と思惑通りの結果に笑みが浮かぶ。今回の勝利で秋に行われる豪州のコックスプレートと米国のブリーダーズCターフの優先出走権を獲得したが、岡田オーナーは「年内は国内に専念していいと思う」と見通しを語った。

 ブローザホーン 父エピファネイア、母オートクレール(父デュランダル)。栗東・吉岡辰弥厩舎所属の牡5歳。北海道新ひだか町・岡田スタツドの生産。通算21戦7勝。総獲得賞金は4億8537万3000円。主な勝ち鞍は24年日経新春杯・G2。馬主は岡田牧雄氏。

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