◆第170回天皇賞・秋・G1(10月27日、東京・芝2000メートル)
第170回天皇賞・秋(27日、東京)で、岩田望来騎手(24)=栗東・フリー=が上り調子の4歳馬ホウオウビスケッツと初コンビ。今夏の仏遠征で気付いた一鞍一鞍の騎乗依頼の大切さを胸にG1初制覇に挑む。前走まで同馬に乗っていた父の岩田康誠騎手(50)=同=は、同じ美浦・奥村武厩舎のノースブリッジに騎乗し、“親子競演”となる。
【父から引き継いだホウオウビスケッツの望来騎手、「感謝」を胸に結果で応える】
感謝の気持ちを胸に勝負の秋を迎えている。岩田望は今夏、国内で多くの騎乗依頼があるなか、フランスで約2か月の武者修行。「行かなきゃ分からないことがある」と、騎乗することの大変さを実感した。初めての秋の盾には、父・岩田康が騎乗するノースブリッジと同じ奥村武厩舎のホウオウビスケッツとの初コンビで参戦する。
同馬はもともと2月の東京新聞杯から父が手綱を任され、2走前の函館記念で重賞初制覇を飾ると、前走の毎日王冠でも2着に好走した。父から「乗りやすい馬」とアドバイスを受け、17日の美浦・Wコースでの1週前追い切りに臨んだ岩田望は「乗りやすくて操縦性が高い。イメージしていた通りに長くいい脚を使いますね」と、父の言葉を体感するデモンストレーションだった。
上昇度は今回の強力メンバー相手にも引けを取らない。前走は夏の暑さの影響で完調とは言えない状態。「あの状態であんなに走ることができて、びっくりした」と奥村武調教師が驚くほどに力をつけており、「前走と比べたら状態が全然違う」と出来の良さにも自信を持っている。
デビュー6年目を迎える岩田望は昨年、キャリアハイの113勝。重賞は今年の4勝を含めて11勝をマークする一方、G1は57回の騎乗で2着2回と勝利が遠い。仏では厩舎作業の手伝いが中心で、レースでの騎乗は6鞍だった。「ひとつ乗ることも大変でした。それだけに、ひとつの騎乗依頼に対してしっかりと結果を出していくことが、大切だと改めて感じました」と振り返る。「依頼してもらった奥村先生や了承していただいたオーナー、ずっとこの馬に乗ってきた父にも感謝したいです」。父子で同厩舎の馬でG1の舞台に立つ機会に自然と出た言葉。貴重な経験を胸に待望のG1ジョッキーへ歩みを進める。(浅子 祐貴)
【父・康誠騎手騎乗のノースブリッジ、6歳迎え充実期突入!】
本格化を迎えて秋の盾取りへ―。奥村武厩舎が送り出すもう1頭のノースブリッジは、21年ラジオNIKKEI賞(3着)からコンビを組む岩田康を背に前走の札幌記念で重賞3勝目。勢いに乗って3度目の天皇賞・秋へ挑む。
前2年は〈11〉〈10〉着と結果は出ていないが、今年はカタール、香港と転戦して心身ともに成長した。美浦・Wコースの1週前追い切りにもまたがった岩田康が「海外に行って気持ちに余裕が出てきたし、ゲートや返し馬、色んな意味で大人になった」と言えば、奥村武調教師も「スタートから元気よく出てくれるようになったし、それで収まりもつくようになった。そこが1年前と違う」と6歳馬の変化に目を細める。2人の言葉からは充実期突入を予感させる。
札幌記念Vからの天皇賞・秋制覇は97年以降、3頭。05年ヘヴンリーロマンス(14番人気)や11年トーセンジョーダン(7番人気)が高配当を演出した。苦楽をともにしてきたベテランコンビが波乱の使者になる。