◆天皇賞・秋追い切り(23日・美浦トレセン)
第170回天皇賞・秋(27日、東京)の追い切りが23日、東西トレセンで行われた。レーベンスティールは、美浦・Wコースで一番時計をマーク。騎乗したクリストフ・ルメール騎手(45)=栗東・フリー=はG1・3連勝、同レース2度目の3連覇への手応えを語った。
重賞2連勝と勢いに乗るレーベンスティールは、確かな上昇カーブを描いてみせた。追い切りは2週連続で美浦に駆けつけたルメールを背に、Wコースでベジャール(5歳オープン)を4馬身追走からスタートした。
速いペースで僚馬が引っ張ったが、バランスを崩すことなく小気味のいいリズムを刻む。3、4角の途中で内に潜り込み直線に入ると、ややもたついた先週とは違いギアを瞬時に上げ、余裕をもって半馬身先着した(ラスト1ハロン11秒4)。6ハロン77秒5はこの日の一番時計で、自己ベストも更新。田中博調教師は「ジョッキーには先週の物足りなさを感じたうえで乗ってもらったけど、そのあたりは改善されている。しっかり反応できるところまで持ってこられた」と納得する。
2週連続でルメールを乗せることで、課題を浮き彫りにして、それに取り組み、答えを導き出す。厩舎と名手との絶妙なさじ加減で、先週からの上積みを加え、最高の状態に仕上げられてきた。
昨年末は香港ヴァーズで8着。今春の新潟大賞典も11着とコンディションが整わず大敗を喫したが、しっかり軌道修正。6月のエプソムCで勝利し、前走のオールカマーでも直線で窮屈になる場面がありながらも前が開くとスッと反応し、突き抜けた。
「2歳時から素質は高い」(同師)と陣営が感じていた素質馬は、4歳秋を迎えて本物になりつつある。師も「少しずつ気持ちの面で大人になったかなと思うし、体質の方も良くなってきた。いいところまできているなという感じはあります」と手応えを話す。
相手は3冠牝馬にダービー馬…。壁は高いが、満を持しての国内G1初挑戦。絶好調の鞍上と厩舎は、23年の函館記念から重賞出走機会4連勝中と、人馬ともに勢いはメンバー屈指だ。「そつがないというか、馬のベストのパフォーマンス、能力を引き出してくれる。あとはお任せするだけ」と師は鞍上に全幅の信頼を寄せる。機は熟した―。追い風に乗り、初の勲章を奪いにいく。(松末 守司)
〈ルメール騎手「調子はいいです」G1・3連勝&秋の盾3連覇へ〉
2週連続で美浦を訪れたルメールは、祝福の声に応えるのがまさにあいさつ替わり。秋華賞(チェルヴィニア)に続き、先週はアーバンシックで菊花賞も制覇。これで、秋シーズンが始まって重賞は早くも7勝目と、他の追随を許さない。「調子はいいです。毎週、重賞で人気馬に乗りましたので、スムーズな競馬ができましたし、馬のコンディションも良かった。僕もミスをしていなかったので」と自信をみせる。
レーベンスティールと臨む天皇賞・秋では、自身2度目の同レース3連覇がかかる。「G1を勝ったことがないので、チャレンジャーのポジションがちょうどいい。ドウデュース、リバティアイランドにチャレンジしたい。状態はいいので頑張れると思う」と力を込める。「2歳なのに古馬のような馬」と絶賛するアルテミスSのブラウンラチェットも含め、今週も多くの有力馬がスタンバイ。「ルメール祭り」は、まだまだ終わることはない。