【香港スプリント前哨戦分析】11月17日のジョッキークラブスプリント・G2を海外競馬通・成田幸穂が解説

Z.パートン騎手が騎乗し、馬場へ向かうカーインライジング(カメラ・高橋 由二)
Z.パートン騎手が騎乗し、馬場へ向かうカーインライジング(カメラ・高橋 由二)

 香港国際競走が12月8日に香港のシャティン競馬場で行われる。小欄では香港スプリント・G1(芝1200メートル)に向けたステップレースとして、11月17日のジョッキークラブスプリント・G2(シャティン競馬場・芝1200メートル、12頭立て)を取り上げたい。

 ジョッキークラブスプリント組は過去5年の香港スプリントで【4・2・5・31】。2019年と2022年には1着から4着までを同組が占めるなど、本番に直結する一戦となっている。

 今年のこのレースで衝撃的な走りを見せたのがカーインライジング(セン4、香・ヘイズ厩舎)だ。3番手追走から最後の直線に入り、先行する2頭を交わし去って先頭へ。後続をあっさりと突き放し、最後は鞍上のパートン騎手が流す余裕を見せての大楽勝を収めた。

 勝ち時計の1分7秒43(良馬場)は、シャティン競馬場・芝1200メートルのコースレコード。往年の快足馬セイクリッドキングダム(2007年と2009年の香港スプリント・G1を制覇)が2007年に記録した1分7秒50を17年ぶりに更新する好タイムだった。

 3馬身1/4差の2着にハウディープイズユアラブ(セン5、香・サイズ厩舎)。後方10番手から直線で内を突いて追い上げた。ヘリオスエクスプレス(セン5、香・サイズ厩舎)も9番手から末脚を伸ばして3着となった。

 レースラップを振り返ると、800メートル通過が45秒09のハイペース。先行したビクターザウィナー(セン6、香・シャム厩舎)が7着、コパートナープランス(セン5、香・ルイ厩舎)が11着と失速し、普通なら差し・追い込み勢の決着になりそうだが、勝ち馬は3番手追走から楽々と押し切った。スプリンターとして驚異的な性能を備えている。

 カーインライジングは6月のシャティンヴァーズ・G3(芝1200メートル)で重賞初制覇。今季初戦、9月のクラス1ハンデ(芝1200メートル)で最重量61キロを背負いながら、ハンデ52キロの2着ビューティーウェイヴス(セン4、香・ン厩舎)に1馬身1/4差をつけて勝利した。続く10月のプレミアボウル・G2(芝1200メートル)もハンデ戦で58キロを背負ったが、ハンデ52キロの2着ヘリオスエクスプレスに1馬身半差をつけて圧倒し、1分7秒57の好時計もマークしていた。

 本番へ向けた展望としては、カーインライジングは問答無用の首位候補。G1初挑戦だが、能力的には最上位と見て間違いない。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月8日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第2「香港国際競走実況中継」に出演予定。

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