G1香港マイルが12月8日に迫った。過去5年の調教国別成績を見ると、香港が4勝、2着5回、3着1回、日本が1勝、3着3回という情勢。ヴォイッジバブル(セン6歳、香・イウ厩舎)とビューティーエターナル(セン6歳、香・サイズ厩舎)については前哨戦分析をご覧いただくとして、ここではその他の有力馬をチェックしたい。
ギャラクシーパッチ(セン5歳、香・ン厩舎)は今年3月、重賞初挑戦のクイーンズシルバージュビリーC・G1で出遅れながらも追い込んで2着。頭角を現すと香港ダービーで2着、続くチャンピオンズマイル・G1でも5着と健闘した。その後はライオンロックトロフィー・G3(芝1600メートル)、プレミアプレート・G3(芝1800メートル)、シャティントロフィー・G2(芝1600メートル)と重賞3連勝。前哨戦のジョッキークラブマイル・G2も出遅れて3着だったが、ハマった時の爆発的な末脚は魅力十分だ。
ハッピートゥギャザー(セン5歳、香・ロー厩舎)は今年1月のジャニュアリーC・G3(芝1800メートル)で重賞初勝利。中距離路線を歩み、クイーンエリザベス2世C・G1ではしぶとく伸びてロマンチックウォリアーの4着に善戦した。プレミアプレート・G3でもギャラクシーパッチから僅差の3着。ジョッキークラブマイル・G2は4着ながら、終始外めを回っていたことを考慮すれば及第点の内容だった。
オーストラリアのアンティノ(セン6歳、ゴラン厩舎)は2走前のトゥーラックH・G1(芝1600メートル)でG1初制覇。最終コーナーでマクリを決めて6馬身半差の圧勝を収めた。前走カンタラS・G1ではG1・8勝の強豪ミスターブライトサイドから半馬身差の2着。オーストラリア調教馬と言えば、ローズオブインディシーズが2022年に人気薄で3着に入る場面があっただけに警戒したい。
ソウルラッシュ(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)は昨年の当レースで4着。スタートで他馬と接触する不利があり、ロスの多い追走になりながらも追い上げた。前走マイルチャンピオンシップ・G1では豪快な差し切り勝ち。今年は混戦模様だけにチャンス十分だ。
ジャンタルマンタル(牡3歳、栗東・高野友和厩舎)は昨年のJRA最優秀2歳牡馬。NHKマイルC・G1、朝日杯フューチュリティS・G1、デイリー杯2歳S・G2と重賞3勝の実績を含めて、2019年の当レースで3歳馬による初優勝を成し遂げたアドマイヤマーズとイメージが重なる。その再現なるか注目したい。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月8日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第2「香港国際競走実況中継」に出演予定。