小欄では香港マイル・G1について血統面から攻めてみたい。過去5年を振り返ると、ノーザンダンサー系種牡馬の産駒が【4・4・3・2】。ここ2年は同系種牡馬の産駒が1着から3着までを独占している。
ヴォイッジバブルはノーザンダンサー系フェアリーキングの流れをくむディープフィールドの産駒。父は現役時に豪TABドットコムS・G2を制したスプリンター。2021年の香港スプリント・G1を制したスカイフィールド、今年4月のチェアマンズスプリントプライズ・G1で3着に好走したムゲンも同馬の産駒であり、当地と相性が良い種牡馬だ。
フェアリーキングの後継を父に持つ馬は、ビューティージェネレーション(父ロードトゥロック)が2017年1着、2018年1着、2019年3着と活躍。ほかにもウエスタンエクスプレス(父エンコスタデラゴ)が2017年2着と好走した。
ディープフィールド 鹿毛2010 ノーザンダンサー系 | ノーザンメテオ 鹿毛2005 | エンコスタデラゴ |
Explosive | ||
Listen Here 栗毛2004 | イリューシヴクオリティ | |
Announce | ||
Raheights 鹿毛2002 ナスルーラ系 | ラーイ 栗毛1985 | ブラッシンググルーム |
グロリアスソング | ||
Laoub 鹿毛1998 | レッドランサム | |
Lisieux |
ビューティーエターナルは、2021年の香港マイル優勝馬カリフォルニアスパングルと同じスタースパングルドバナーの産駒。父は英ゴールデンジュビリーS・G1や英ジュライC・G1などG1・4勝馬で、2010年の欧州チャンピオンスプリンターに輝いた。
ビューティーエターナルは母方も良血。曽祖母ヴィーナーヴァルトの産駒に英レーシングポストトロフィー・G1のクラウディドハウス、孫に米アメリカンオークス招待S・G1のティッカーテープ、仏モーリスドギース賞・G1のブランド、今年の仏ムーランドロンシャン賞・G1を制したトリバリストがいる。
スタースパングルドバナー 栗毛2006 ダンチヒ系 | ショワジール 栗毛1999 | デインヒルダンサー |
Great Selection | ||
Gold Anthem 栗毛1999 | Made of Gold | |
National Song | ||
Ithacan Queen 鹿毛2008 ターントゥ系 | Savabeel 黒鹿毛2001 | Zabeel |
Savannah Success | ||
Bering Island 栗毛2000 | Bering | |
Wiener Wald |
ジャンタルマンタルは、ミスタープロスペクター系スマートストライクの血を引くパレスマリスの産駒。父はベルモントS、メトロポリタンHと米国のダートG1・2勝を挙げた。父の弟に春の天皇賞馬ジャスティンパレス、ステイヤーズS・G2の覇者アイアンバローズがいる。香港マイルでは、スマートストライクの後継種牡馬ザンジバルを父に持つジョイフルトリニティが2016年3着となった。
ジャンタルマンタルの母インディアマントゥアナは米レッドカーペットH・G3の勝ち馬。遠縁ながら、この母系からは香港での活躍馬も出ており、5代母ジェネラルズシスターの子孫にクイーンエリザベス2世C・G1を制したミリタリーアタック、スチュワーズC・G1の覇者で2015年の香港マイルでモーリスの2着となったジャイアントトレジャーがいる。
パレスマリス 鹿毛2010 ミスタープロスペクター系 | カーリン 栗毛2004 | Smart Strike |
Sherriff's Deputy | ||
パレスルーマー 鹿毛2003 | Royal Anthem | |
Whisperifyoudare | ||
インディアマントゥアナ 黒鹿毛2014 シアトルスルー系 | Wilburn 鹿毛2008 | バーナーディニ |
Moonlight Sonata | ||
Speed Wagon 青毛2003 | Tomorrows Cat | |
Rajica |
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月8日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第2「香港国際競走実況中継」に出演予定。