◆第76回朝日杯FS・G1(12月15日、京都競馬場・芝1600メートル)
第76回朝日杯FS・G1(15日、京都)の「考察」前哨戦編は、新潟2歳Sで勝負根性を見せたトータルクラリティに注目した。
トータルクラリティの新潟2歳Sの内容がいい。好発から出たなりで好位で流れに乗り、前に壁がつくれず前半は力んでいたが、直線に向いて残り400メートルまで楽な手応え。抜け出したところまでは良かったが、鞍上が手綱を離すような格好でバランスを崩し、フラフラしているうちに、残り1ハロンでコートアリシアン(2着)に出し抜けを食らってしまった。それでも左手前のまま差し返し、素晴らしい勝負根性を披露した。
武豊騎手とのコンビで砂の短距離で活躍したジョイフルハートを手がけた柴村厩務員も、JRA重賞は初勝利だった。「新潟への車中でも、到着してからもカイバを食べて、意外と体は減らなかった。今回、ひと回り大きくなって良くなっているよ。スタミナがありそうで、距離はもっと延びてもと思っているんだ」と愛馬を信頼する。
過去10年で、前走が新潟2歳Sの馬は2頭。18年ケイデンスコールも20年ショックアクションも勝って臨んだが、ともに13着に敗れた。ただ、2頭とも朝日杯FSが4戦目で、状態が戻りきらなかった可能性もある。トータルは今回が3戦目でフレッシュなだけに、大いに警戒が必要だ。(玉木 宏征)