的場文騎手が、ついに地方競馬の最多勝記録を更新した。何と、61歳である。的場騎手のすごいところは、初老といってもいい年齢なのに、競馬に対してエネルギッシュなこと。スポーツ選手が一線を退くとき、「体力の限界」「燃えなくなった」という言葉を聞く。ところが、“大井の帝王”には、そんな面が全くうかがえないのだ。
レースでは「ダンス」とも形容されるダイナミックなアクションで追う。地元・大井では、一日にフルの8鞍に騎乗することもしばしば。肉体面の衰えはない。そして何より、レースに乗りたいという意欲がすごい。関係者に「今度また乗せてください」と頭を下げるシーンを何度も見た。
ここまで、「目標があるから頑張れるんだよ」という言葉をよく聞いた。6000勝、7000勝。そして、今回の偉業。このあとは…。今年の場合、最多勝記録の影に隠れていたが、東京ダービーを勝っていないという七不思議がある。悲願の東京ダービー制覇。これが、新たな“宿題”だ。(春木 宏夫)