◆第11回レパードS・G3(8月4日・ダート1800メートル、新潟競馬場、良)
ディープインパクト追悼競走、第11回レパードS・G3(ダート1800メートル)が4日、新潟競馬場で行われた。優勝したのは、ディープと同じ金子真人オーナー(名義は金子真人ホールディングス(株))が所有する10番人気のハヤヤッコ(田辺)。後方から鮮やかに差し切り、白毛馬として初めてJRAの重賞を制した。
灼熱の太陽の下で、白毛馬が輝いた。各馬がラストスパートをかけた最後の直線。外から猛追してきたのは白毛のハヤヤッコだった。馬上には、先月30日にこの世を去った名馬ディープインパクトと同じ黄色と黒がメインの勝負服をまとった田辺。「なかなか(白毛馬に)乗る機会もない。乗れるだけでも光栄」。騎手の懸命のステッキに応え、ゴール寸前で1番人気のデルマルーヴルを首差で差しきった。
「ディープインパクト追悼競走」の副題がついた新潟のメイン競走。くしくもディープのオーナーを務めた金子真人氏の愛馬が制した。しかも、JRAの重賞を白毛馬が制したのは初の快挙だった(地方交流重賞では08年にユキチャンが関東オークス、クイーン賞、TCK女王盃を制覇)。
金子氏は表彰式に姿を見せなかったが、検量室前で馬を出迎えた国枝調教師は「さすが金子さんだ」と舌を巻いた。鞍上も「(白毛馬で)重賞を勝たせてもらって、歴史的なこと」と快挙に笑顔を見せ、ダート界の新星誕生を喜んだ。
当初はいつも通りの先行策を予定したが、田辺は「流れが速くなると思ったので、ついていくのをやめた」と後方待機を選択。死んだディープが後押ししたかと思うほど、臨機応変な誘導からラストの末脚を引き出した。ラジオNIKKEI賞から重賞騎乗機会4連勝の鞍上は「いい馬に乗せてもらって勝ってるのは僕の自信にもなる」と相好を崩した。
ディープ追悼競走で初の重賞タイトルを手にした白毛馬。名馬を出した勝負服の鞍上を背にダート路線をリードしていく。(恩田 諭)
◆ハヤヤッコ 父キングカメハメハ、母マシュマロ(父クロフネ)。美浦・国枝栄厩舎所属の牡3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算9戦3勝。総収得賞金は6183万9000円。重賞初勝利。馬主は金子真人ホールディングス(株)。