【香港国際競走 キーマンにヤマタケ直撃1】ロードカナロアでスプリント連覇の安田隆行調教師がダノンスマッシュで凱旋

13年、香港スプリント連覇で有終の美を飾ったロードカナロア。笑顔の安田隆調教師(右端)は今年、産駒のダノンスマッシュで戻ってくることになった
13年、香港スプリント連覇で有終の美を飾ったロードカナロア。笑顔の安田隆調教師(右端)は今年、産駒のダノンスマッシュで戻ってくることになった

◆香港国際競走(12月8日、シャティン競馬場)

 JRA海外馬券発売対象で、日本馬計9頭が出走予定の香港国際競走は8日、シャティン競馬場で行われる。アーモンドアイが香港カップを回避したが、その父ロードカナロアが12、13年に連覇した香港スプリントには、安田隆行調教師(66)=栗東=が産駒のダノンスマッシュを送り込む。現地取材に赴くヤマタケ(山本武志)記者の連載「香港のキーマン」初回は、短距離王者の子で凱旋(がいせん)する安田隆師の思いに迫った。

 衝撃の一報だった。早朝取材を終え、栗東トレセンの記者席に着いた先週土曜の午前9時半。アーモンドアイが香港カップ回避の情報が飛び込んできた。その時、頭に思い浮かんだのが安田隆調教師だ。

 香港スプリントに出走するロードカナロア産駒のダノンスマッシュについて話を聞いていた時、自らが手がけた父の名前を日本だけでなく、世界に広めている名牝の話題になった。「もちろん、応援していますよ。あの馬が向こうでどんな競馬をしてくれるか、本当に楽しみなんです」と実にうれしそうな表情をしていたからだ。しかし、産駒2頭での遠征は幻に。「残念だけど、仕方ありませんね」と肩を落とした。

 安田隆師にとって、香港へ行くのはカナロアの引退レースとなった13年香港スプリント以来。あれから6年の月日が経った。「本当にすごいと思います。(スプリント戦では)世界一のレースを、しかも連覇したんですからね」と懐かしそうに振り返る。あのラストラン直後。充足感と寂しさが入り交じるなか、安田隆調教師はこう口にした。「子供で再び香港のファンの皆さんの前に帰ってくることを約束します」

 その約束を果たしてくれたのが、ダノンスマッシュ。父と同じ4歳秋での勝利を狙った前走のスプリンターズSでは3着に敗れた。「よく頑張ったとは思います。ただ、まだカナロアの域には達していないということでしょうね」と冷静に分析。しかし、背腰の緩さが解消し、完成期へ近づきつつある愛馬に対する期待は大きい。「今回は胸を借りる立場です。ただ、カナロアの子供で行けるというのはうれしい。結果を出せれば素晴らしいことですよね」。夢の続きを目の前で見たい―。そんな強い思いを胸に、私は3日、現地へ出発する。(山本 武志)

 ◆安田 隆行(やすだ・たかゆき)1953年3月5日、京都府出身。66歳。72年に騎手デビューし、91年にトウカイテイオーとのコンビで皐月賞、日本ダービーを制するなど通算6401戦680勝。95年に栗東で厩舎を開業し、JRA通算800勝(うちG1・11勝を含む重賞38勝)。管理したロードカナロアは香港スプリントとスプリンターズSを12、13年に連覇するなどG16勝し、13年の年度代表馬に選出された。

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