【ヴィクトリアM】池添兼調教師、メイショウミモザでもうひと花 史上最長22年ぶりG1制覇だ

メイショウミモザを優しく見つめる池添兼調教師
メイショウミモザを優しく見つめる池添兼調教師

◆第17回ヴィクトリアM(5月15日、東京・芝1600メートル)

 もう一度、あの喜びを味わいたい。池添兼調教師がメイショウミモザで1999年の阪神JF(当時、阪神3歳牝馬S=ヤマカツスズラン)以来のG1タイトルを狙う。勝てば、22年5か月9日ぶりとなるG1史上最長間隔での勝利【注】。「あの年は開業の年。1年目からG1を勝てたというのは厩舎にとって、本当に大きかったですよ」と懐かしそうに振り返る。

 10月に70歳となり、来年2月末に定年引退を迎える。騎手になった74年から約半世紀、常に馬を間近に感じながら過ごしてきた。「一週間、一週間の仕事ですし、365日、毎日馬に接している。アッという間だったな、という感じです」。

 馬だけでなく、人も育てた。厩舎からは池添学、橋口、上村、茶木と4人の調教師が巣立っていった。「細かいことは指示せず、自主性に任せているだけですよ」。また、唯一預かった騎手になる松山は今や全国リーディングで上位争いに加わるまでに成長。3年目と早い時期にフリーになったのも「うちの厩舎に縛られないように」と背中を押したからだ。「(引退後も)みんな活躍してくれればうれしいね」と温かい視線を送る。

 メイショウミモザは、自ら手がけて5歳時に重賞2勝(10年日経新春杯、京都大賞典)を挙げたメイショウベルーガの娘。母譲りの激しい気性面から6ハロン戦を主に使われてきたが、久々のマイル、重賞初挑戦だった前走の阪神牝馬Sで低評価を覆す見事な勝利を飾った。「ハーツクライ産駒でもあるし、年を取ってから一度マイルを使ってみたいというのはあったけどね。この血統でオクテなのかな」と穏やかな笑みを浮かべたトレーナー。スズランからミモザへ―。あと1年を切った“ラストイヤー”で、鮮やかな花を再び咲かせてみせる。(ヤマタケ)

 【注】グレード制導入の84年以降、調教師のJRA・G1最長勝利間隔は、山本正司元調教師の「21年5か月16日」で、84年5月13日の安田記念(ハッピープログレス)の次は05年10月30日の天皇賞・秋(ヘヴンリーロマンス)だった。

 ◆池添 兼雄(いけぞえ・かねお)1952年10月22日、鹿児島県生まれ。69歳。74年に騎手デビューし、92年の引退まで重賞7勝を含む通算185勝。うち130勝を障害で挙げた。99年3月に栗東で厩舎を開業し、G1初出走だった同年の阪神JF(ヤマカツスズラン)で勝利。重賞初制覇でもあった。JRA通算426勝(うち重賞18勝)。

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