伊藤雄二・元JRA調教師が死去 ウイニングチケット、エアグルーヴなど歴史に残るスターホース管理

武豊(右)とのタッグなどで一時代を築いた伊藤雄二元調教師
武豊(右)とのタッグなどで一時代を築いた伊藤雄二元調教師

 2007年に引退した元JRA調教師の伊藤雄二(いとう・ゆうじ)さんが17日、老衰のため亡くなったことが19日、明らかになった。85歳だった。93年の日本ダービー馬ウイニングチケット、97年に牝馬史上2頭目の年度代表馬に選出されたエアグルーヴなど、歴史に残る多くのスターホースを管理。歴代8位となるJRA通算1153勝の成績を残し、優秀なホースマンも育てた名トレーナーが旅立った。

 名伯楽が静かに85歳の生涯を閉じた。関係者によると、伊藤さんは17日午前10時3分、老衰で息を引き取った。葬儀・告別式は19日に親族のみで営まれたという。

 父が馬場馬術の選手だった伊藤さんは幼い頃から身近に馬がいる環境で育った。59年に騎手としてデビュー。29歳だった66年に引退して調教師に転身し、阪神競馬場で開業した。69年に栗東トレセンが開設されると同時に栗東所属となった。

 卓越した技術と理論で1年目から着実に結果を積み重ね、77年皐月賞のハードバージでG1級競走初勝利。93年にはウイニングチケットでダービートレーナーとなった。96年のオークス馬エアグルーヴは97年の天皇賞・秋で牡馬を撃破し、牝馬として26年ぶりの年度代表馬に選出。繁殖入り後もアドマイヤグルーヴ(03、04年エリザベス女王杯)などのG1ホースを送り出し、現在の日本を代表する優秀な血脈の土台となった。

 人材育成でも秀でた手腕を発揮。厩舎に所属した主な人物に湯窪幸雄元騎手(元調教師)、笹田和秀元助手(現調教師)、千田輝彦元騎手(現調教師)、藤岡健一元助手(現調教師)がいる。

 07年の引退後は解説者、評論家として活動。14年には競馬界への多大な功績が認められ、殿堂入りを果たした。調教師としてのJRA通算成績は7501戦1153勝。重賞はG1・12勝(G1級1勝を含む)など77勝。年間最多勝利を3度記録し、最高勝率調教師賞には7回輝いた。

 ◆伊藤 雄二(いとう・ゆうじ)1937年1月14日、大阪府生まれ。59年に騎手デビューし通算72勝。66年に調教師に転身し、JRA通算1153勝を挙げた。07年2月に定年引退。14年に顕彰調教師として殿堂入り。

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