◆第27回秋華賞・G1(10月16日、阪神・芝2000メートル)=10月12日、美浦トレセン
第27回秋華賞・G1(16日、阪神)で史上7頭目の牝馬3冠を目指すスターズオンアースが12日、茨城・美浦トレーニングセンターのWコースで最終追い切りを行い、万全の仕上がりをアピールした。2週連続の併せ馬で手綱を執った名手ルメールは「勝つ自信があります」と断言。思い入れの深い良血馬との偉業達成へ燃えている。
爽秋の美浦トレセンに一陣の風が吹いた。桜花賞、オークスと牝馬2冠を手にしたスターズオンアースはルメールが馬上でゴーサイン。Wコースの最後の直線で、3馬身前にいたソーラーフレア(7歳3勝クラス)に追いつくと、馬体を併せる間もなく一瞬で抜き去った。加速ラップを刻んで1000メートル66秒3―11秒6で1馬身半先着し、最終調整を終えた。「直線でだんだんペースアップしましたし、すぐ反応できました。ラスト1ハロン(200メートル)、すごくいい脚を使ってくれました」と鞍上も自信満々だ。
手綱は持ったままだったが、レース間近と感じての豪快なストライドにみなぎる気迫。無理に動かそうとせずとも前への意識が感じられた。オークス後に明らかになった両前肢剥離(はくり)骨折の影響はみじんも感じさせない。2週続けてルメールが騎乗して、それもしっかりと確認。「トップコンディションになりました。G1でまた勝つ自信ありますね」とさらに名手の口調が強まった。
祖母のスタセリタは09年の仏オークスで自身が騎乗してV。その子でスターズの叔母ソウルスターリングでも17年に日本のオークスを制した。3世代で“オークス馬”に導いてきた思い入れのある母系に、「スタセリタとロードストーリーですね」とほほ笑む。桜花賞は乗っていないが、その孫での牝馬3冠達成は名手にとっての悲願でもある。
オークス制覇後には「彼女のポテンシャルは高い。アーモンドアイと同じくらい」とその能力を評価した。自らが18年に牝馬3冠を達成した怪物牝馬に引けをとらぬ能力を感じ取る。20年デアリングタクト以来史上7頭目の偉業へ。「スターズオンアースにとって大きな挑戦。もう一度3冠馬が出たらみんな喜ぶ」。2つ目のタイトルから5か月をへて臨む“最終章”。最後まで主役の座にはスターズオンアースの名前がある。(恩田 諭)
◆高柳瑞調教師に聞く
―美浦・Wコースで僚馬を3馬身追走し、1馬身半先着。ラスト11秒6といい伸びでした。
「1週前は2週前より一段階上がった感じでしたが、先週に比べてさらに(状態が)上がったかなという感じがします。動きは良かったですね」
―春と比べて馬の変化はどうですか?
「体は少し大きくなりました。もともと能力は高かったので、それを維持するというか、順調に成長しています」
―阪神2000メートルはどうでしょうか?
「東京と比べるとやはり小回りなので、スムーズな競馬をしてほしいですね」
―レースの戦略は?
「ルメール騎手にお任せします」
―史上7頭目の牝馬3冠がかかります。
「すごく注目されているので、それなりにプレッシャーを感じています。すごく能力が高い馬で、ここまでG1を2つ取れました。なんとかもう一ついい結果を出したいです」