ルーキーの今村聖奈騎手(18)=栗東・寺島厩舎=が、23日の新潟2Rをフェステスバントで逃げ切り勝ち。前日22日に、藤田菜七子によるJRA女性騎手年間最多勝利(19年、43勝)に並んでいた記録を更新すると、8Rも逃げ切って一日2勝をマークし、45勝まで伸ばした。
あっさりと超えてみせた。1Rをわずか首差届かず2着と足踏み。2Rは好発からスローに落とし、最後の直線で突き放す完璧な手綱さばきで新記録を打ち立てた。「なるべく、きょうのうちに決めたいなという気持ちで朝からレースに乗っていました。1Rは悔いが残るレースになってしまいました。切り替えて2Rもいい馬だったので、馬とけんかしないで気持ち良く走らせようと思いました」。多くのファンが見守る中、聖奈スマイルが弾けた。
8Rでも1年3か月ぶりの出走だったプロミストウォリアに騎乗し、5馬身差V。いつも助言を請う先輩の福永がデビューイヤーに記録した53勝も視界に入ってきた。「いつまでもたくさんの人に信頼され、応援され、そして尊敬されるような人間になりたい」。菜七子先輩の背中を見てジョッキーを目指したスーパールーキー。勢いはとどまることを知らない。(石行 佑介)
〈父・康成さん自宅で応援「いい馬に乗っていた」〉
今村の父・康成さんは記録更新の瞬間を自宅で観戦。1Rから家族全員で応援していたという。「昨日の最終を勝って、午前中からいい馬に乗っていましたから。今週は達成があるんじゃないかと思っていました」と満足そうに切り出した。現在は飯田祐厩舎の調教助手だが、97年から12年まで騎手として通算45勝。くしくもこの日までの娘と同じ。白星を積み重ねる難しさを知っており「オーナーを始め、関係者の方に応援していただいている。それに尽きると思います」と感謝した。
記録は更新したが、1年はまだまだ続く。「今年一年が終わるまで、とにかくけがなくやってほしいと思います」。騎手の先輩として、そして親として、今後も聖奈の騎乗を温かく見守っていく。
〈菜七子が称賛「周りが見えている」〉
藤田菜七子騎手(25)=美浦・根本厩舎=は23日の新潟12R(芝直線1000メートル)で、騎乗したディアナグランを大外枠から勝利に導き、8月14日以来となる、今年6勝目、通算145勝目を挙げた。
新潟2、8Rをルーキーの今村が勝利。自身が保持していたJRA女性騎手の年間最多勝利記録を塗り替えた。「見ていてすごく落ち着いて乗っているんだろうなと思います。周りが見えているんだろうなと。私のルーキーイヤーと比べて優れているなと思う部分です」と活躍をたたえた。
「これから女性ジョッキーが増えていき、(私の)記録を超えていく、そういうジョッキーが出てくるのはもちろんあると思っていましたし、すごいなと思って見ています」。この日の約2か月ぶりの白星を上昇へのきっかけにする。