2023年の2歳戦が3日、東京と阪神の芝1600メートル戦で開幕した。阪神5Rは新種牡馬の産駒としてこの日唯一の出走となったブリックスアンドモルタル産駒のテラメリタ(ルメール)が開幕星を挙げた。
スタートこそ速くはなかったが、じわりとハナへ。テラメリタはそこからマイペースに持ち込み、手応え十分に直線に向いた。上がり3ハロンをメンバー最速の34秒3でまとめ、2着に3馬身半差の完勝。ルメールは「直線はいい加速をしてくれた」と目を細め、この日が57歳の誕生日だった須貝調教師は、現役時に管理した母テラノヴァの娘の初陣Vに「課題はいっぱいあるけど、ゆかりの血統で勝てたのはうれしい」と満面の笑みを浮かべた。
父は19年に重賞6戦6勝、G15勝と芝で無敵を誇り、米国競馬の年度代表馬に選出された期待の種牡馬。導入した社台グループの吉田照哉代表も観戦に訪れ、「(産駒に)乗る牧場スタッフが『サンデーサイレンスの再来』と言っている。その片りんが見えたので楽しみです」とご満悦だった。
スタート前には枠入りを嫌がり、発走調教再審査を課せられたが、トレーナーは「(開花は)今じゃない。よう勝ったね」と、今後の成長を期待した。素質だけでつかんだ初陣白星だけで終わる器ではない。主役を張る来春、さらにその先へに向け、まずは力強い一歩を踏み出した。(山下 優)