99年の北海道で輝きを放ったコンビがいた。小林徹弥助手とニホンピロジュピタ。休み明けの大沼Sは6着に敗れたが、次の2勝クラス、中1週の格上挑戦で臨んだマリーンSと連勝。そして迎えたのがエルムS。
自身は騎乗していなかったが前年3着と好走しており、2番人気に支持された。「状態が良かったし、進路さえ取ってあげればと考えていた。包まれないように乗った」。終わってみれば、2着馬に5馬身差の圧勝劇。3連勝でジュピタに初重賞をプレゼントした。「乗り味がすごくいい馬だった。なかなか巡りあえないと思った」と懐かしんだ。
騎手当時、夏は主に北海道で騎乗した。「調教師の先生から、調教を任せてもらうのでやりがいというか、責任を感じて乗っていた」。連日、密に馬とコンタクトを取れるのも滞在競馬ならでは。北の大地で得た技術は、千田厩舎の助手として働く今の礎となった。
「千田先生は優しいし、やりやすい環境を作ってくれています。何とか重賞を勝って、厩舎に名前の入った調教ゼッケンを、と思っています」。目標をかなえるため、小林助手は今日も馬上で汗を流す。(山下 優)
◆小林 徹弥(こばやし・てつや)1974年5月5日、埼玉県生まれ。49歳。93年3月に栗東・目野哲也厩舎所属でデビューし、JRA通算383勝。19年5月に引退。重賞は99年エルムSの他、96年マイラーズC、01年京都牝馬S、02年シルクロードS、08年東海Sの5勝。現在は栗東・千田輝彦厩舎の調教助手を務める。