田中勝春騎手が来年から調教師に「相撲部屋のような厩舎を作りたい。一生懸命稽古して一生懸命食べて一生懸命休む」

笑顔の田中勝(中)と浅利英明助手(左)、柄崎将寿助手
笑顔の田中勝(中)と浅利英明助手(左)、柄崎将寿助手

 24年度の新規調教師免許試験合格者9人が7日、発表され、前川恭子助手(46)=栗東・坂口厩舎=がJRA初の女性調教師となることが決まった。一次試験受験者132人から24人が進んだ二次試験を突破した。JRA通算1809勝の田中勝春騎手(52)=美浦・フリー=らとともに来年1月1日から免許が有効となる。JRA通算1056勝の秋山真一郎騎手(44)=栗東・フリー=のみ、本人の申請で免許開始は3月1日となる。

 騎手としてデビューして35年目を迎えた大ベテランが来年からトレーナーとして新たな一歩を踏み出す。3度目の挑戦で合格をつかみとった田中勝はやや緊張した面持ちで会見場に姿を現し、「ジョッキーの経験を生かして調教師を目指すことにしました」と語った。

 憧れの存在は野平祐二元調教師。騎手として2度の年度代表馬に輝いたスピードシンボリの主戦を務めるなど活躍し、調教師に転身後は皇帝シンボリルドルフを育てあげた名伯楽だ。「名馬を育てられ競馬の発展に尽力した方。僕もシンボリルドルフみたいな馬を作って競馬の発展に尽力したい」と襟を正した。

 騎手としてJRA1809勝を積み重ね、ヤマニンゼファー、ヴィクトリーとG1・2勝。昨年の七夕賞ではエヒトで約3年ぶりの重賞Vを飾りカッチースマイルを振りまいていた。「だんだん下手になって皆さんに迷惑かけられない」と謙遜してみせたが、52歳でついにムチを置く。思い入れ深い一頭はバランスオブゲーム。「気性も激しかったのでずいぶん教えてもらいましたし、助けてもらいました」。自ら調教をつけG2・6勝といぶし銀の活躍を見せたパートナーとの経験を調教師人生に生かす構えだ。

 「相撲部屋のような厩舎を作りたい。一生懸命稽古して、一生懸命食べて、一生懸命休む。これが馬にとっていいと思う。携わるトレーナー、厩務員がうまく連携をとって勝利に導けるようにしたい」。“第二の人生”でもまたカッチースマイルが見られるはずだ。(石行 佑介)

 ◆田中 勝春(たなか・かつはる)1971年2月25日生まれ。北海道出身。52歳。89年に騎手免許を取得し、同年10月21日に初勝利。90年の京王杯オータムハンデ(オラトリオ)で重賞初制覇。92年安田記念(ヤマニンゼファー)でG1初勝利を飾った。JRA通算2万643戦1809勝(うちG1・2勝含む重賞51勝)。

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