◆皐月賞・G1(4月16日、中山・芝2000メートル、18頭立て=重)
小回りの中山2000メートルではめったにお目にかかれないフルゲート戦の大外一気。それをあっさりと決めてしまったソールオリエンス(牡4歳、美浦・手塚貴久厩舎、父キタサンブラック)のインパクト抜群の豪脚に度肝を抜かれた。
4角でライバルたちは内ラチ沿いから外へとズラッと大きく広がった。重馬場発表で見た目にも特殊な馬場。「外を走りたいと思っていた」と横山武史騎手が戦前に考えていた通り、ロスを承知で前のライバルたちの最も外へと進路を取った。さらにその手前では仕掛けをワンテンポ我慢するシーンもあり、まさにパートナーを信じ抜いた鞍上の好リードが光った。
グラニットやタッチウッドなど行きたい馬が多く、戦前から流れが速くなることは想像はできた。それだけに最内枠からの発走となったソールオリエンスは、記者はさばききれないと判断。2戦目の同舞台で行われた京成杯では重賞タイトルを手にしたものの、4角で大きく外へと膨れる若さものぞかせていただけに、能力は認めても印を△にとどめたことを猛省した。レース後に手塚調教師が「想像以上でした。きょうの難しい条件でどうするかと思っていたけどうまく乗ってくれました」と絶賛していたのも印象深い。
その後は(2)(2)(3)着と勝ち運から見放されたが、世代のトップレベルとしのぎを削った。古馬と初対戦だった前走の有馬記念は8着に敗れたものの、来年以降さらに成長が見込める素材だけに、この経験は必ず生きてくるはずだ。(石行 佑介)