◆フェブラリーS・G1(2月19日、東京・ダート1600メートル、16頭立て=良)
今年の国内のダート界で印象的な活躍をしたレーモンポップ(牡5歳、美浦・田中博康厩舎、父レモンドロップキッド)が初G1制覇した、フェブラリーSを取り上げる。記者が以前に所属していた、関東の競馬専門紙時代から取材していた厩舎で、ずっと注目していた一頭だ。前哨戦の根岸ステークスで重賞を初勝利。このレースでは坂井瑠星騎手と初めてのコンビで挑むことになった。
レースはショウナンナデシコが先手を主張し、ヘリオスとケイアイターコイズが2番手。レモンポップは4番手集団のなかを追走した。折り合いもスムーズにつき、いい手応えのまま直線へ。鞍上が追い出しのタイミングをはかりながら抜け出すと、2着レッドルゼルの追い上げを退けて完勝。ゴール後は坂井騎手の右手が上がり、18年に開業した田中博調教師も待望のG1初勝利となった。「ああ、ついにG1を勝ったか」とすごくうれしかったのを覚えている。
その後は南部杯(盛岡)とチャンピオンズC(中京)を制し、レモンポップはダートG1を3勝と大活躍。距離の不安を一蹴した、チャンピオンズCのレース後に「今回は田端さん(レモンポップ担当助手)の執念を感じました。過去の成功体験にとらわれずに、攻めたんです」と話した田中博調教師。23年はJRA重賞を6勝した。頼もしいスタッフとともに、来年も目が離せない厩舎だ。(山下 優)