【2023年レース回顧・吉村】新装の淀で人気馬の明暗くっきり ジャスティンパレスが新王者に

天皇賞・春を制したジャスティンパレス
天皇賞・春を制したジャスティンパレス

◆天皇賞・春・G1(4月30日、京都競馬場・芝3200メートル、17頭立て=稍重)

 約2年半の大規模な改修工事を経て、4月22日に京都競馬場がグランドオープンした。開幕2週目に行われた新装一発目のG1は伝統の3200メートル戦。わくわくしながらスタミナ自慢たちの競演を見守った。

 5歳初戦の日経賞で8馬身差の圧勝を飾った前年覇者、タイトルホルダーが単勝1・7倍で堂々の1番人気。阪神大賞典を快勝した4歳馬のジャスティンパレスが同4・3倍で2番人気の支持を集めた。

 勢いよくハナに立ったタイトルホルダーを、外からアフリカンゴールドが制して最初のコーナーに入った。隊列が決まったかと思われた1周目のゴール前で、アフリカンゴールドが失速(心房細動を発症、向こう正面で競走中止)。再びタイトルホルダーが先頭に躍り出る、出入りの激しい展開となった。

 勝負どころの2周目3コーナー。本来なら後続との差を広げていくはずのタイトルホルダーが、馬群にのみ込まれていく。1番人気馬はそのままスローダウンして直線入り口で競走中止。場内が騒然とする中、ディープボンドが4角で先頭に立った。持ち前の大きなストライドで押し切りを図ろうとしたが、直後に迫っていたジャスティンパレスが楽々とパス。最後は2馬身半差をつける快勝で初のビッグタイトルを手中に収めた。

 周囲の動きに惑わされず、じっと末脚を温存。不利を受けない位置で立ち回ったルメール騎手の冷静さが光った。ディープインパクト産駒は71度目のJRA・G1勝利。その父サンデーサイレンスに並ぶ歴代最多タイ記録となった。

 レース後の検量室前は、いつも以上に慌ただしかった。タイトルホルダーに何が起きたのか。なかなか事実が確認できず、記者たちも混乱していた。しばらく時間がたってから出た診断結果は「右前肢ハ行」。重症でないことが分かり、ホッとした。

 3年ぶりに淀へ戻ってきた伝統の一戦。現場で余韻に浸る暇はなかったが、いろんな意味で記憶に残るものとなった。(吉村 達)

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