【ドバイワールドカップ能力分析】地元UAEのカビールカーンに注目

 G1ドバイワールドカップが30日に迫った。過去5回の調教国別成績を振り返ると、アメリカが2勝、UAEが2勝、そして日本の1勝が加わる。G1サウジカップの上位組については前哨戦分析をご覧いただくとして、小欄ではその他の有力馬をチェックしたい。

 注目は地元UAEのカビールカーン(牡4歳、ワトソン厩舎)だ。カザフスタンでデビューして3戦全勝、さらにロシアで6戦5勝、2着1回という成績を残してUAEに移籍。メイダン・ダート2000メートルの初戦では、この前走ロシアダービー(ダート2400メートル)で先着を許したヒーローモーに4馬身差をつけて圧勝。続くアルマクトゥームチャレンジ(ダート1900メートル)では、低調なメンバー構成ながら後続に4馬身3/4差をつける楽勝でG1初制覇を果たした。

 半ば草競馬と言うべき状況の中央アジアからキャリアをスタートし、ドバイワールドカップの有力候補までに昇格した。そのサクセスストーリーには驚くばかりだが、血統分析でも触れたように確かな下地がある。近2走の内容からメイダンのダート適性も相当なもので、軽視できない一頭だろう。

 ドゥラエレーデ(牡4歳、栗東・池添学厩舎)は昨年のG2UAEダービーでデルマソトガケの2着。当地のダートを難なくこなした。その後はダービーで落馬競走中止あり、山あり谷ありだったが、チャンピオンズCと東京大賞典で3着と改めてダート適性を示した。前走のフェブラリーS(12着)は距離不足と見て良いだろう。

 クルーピ(牡4歳、米・プレッチャー厩舎)は前走G1ペガサスワールドカップで3着。後方から追い上げて、上位2頭から4馬身あまりの差で入線となった。とは言え、先着された1着ナショナルトレジャーがサウジカップ4着、2着セニョールバスカドールが同1着だから、結果的に相手が悪かった感もある。脚質は差しタイプ。展開に左右されるが、4歳馬で伸びしろがあるだろうし、穴馬候補として馬券の買い目に加えてみるのも面白そうだ。

 サウジアラビアのディファンデッド(セン6歳、ミシュレフ厩舎)は、移籍前の米国でG1ハリウッドゴールドカップ(ダート10ハロン)とGⅠオーサムアゲインS(9ハロン)を制覇。前者では2022年のドバイワールドカップ優勝馬カントリーグラマー(4着)とセニョールバスカドール(5着)と破り、後者でもカントリーグラマーに1馬身3/4差をつけて完勝している。移籍初戦の前走サウジカップは7着に敗れたが、休み明けを使われて前進があってもいい。

 ◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。

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