小欄ではG1ドバイワールドカップについて血統面からアプローチしてみたい。イチ推しはエーピーインディ系種牡馬の産駒だ。
オールウェザーからダートに換装された2015年以降、同産駒は【2・2・1・11】で複勝率31%。このうち年齢でふるいにかけると、4歳と5歳は【2・2・1・6】で同46%、6歳以上は【0・0・0・5】で同0%と、成績の差が大きい。フレッシュな4歳と5歳が狙い目となる。
今年該当するのはエーピーインディ系カリフォルニアクロームを父に持つ4歳馬カビールカーンだ。父は2014年と2016年の米年度代表馬に輝いたチャンピオンで、ケンタッキーダービーとプリークネスSの米2冠を含めてG1・7勝。2016年のドバイワールドカップでは当時のコースレコードを記録して圧勝を収めた。現在は新ひだか町のアロースタッドで種牡馬供用されている。
カビールカーンの母リトルエミリーは米国のブラックタイプ競走ラスマドリナスH(ダート8・5ハロン)の勝ち馬。曽祖母スライトディセプションの代にはセントウルSの覇者ダッシャーゴーゴーがいる。遠縁ながら往年の菊花賞馬ナリタトップロードや有馬記念を制したマツリダゴッホと同じ牝系。カビールカーンは異色のキャリアで知られるが、血統的には日本とも縁がある。
カリフォルニアクローム | Lucky Pulpit | Pulpit |
Lucky Soph | ||
Love The Chase 栗毛 2006 | Not For Love | |
Chase It Down | ||
リトルエミリー 栗毛 2008 ヌレイエフ系 | Castledale 鹿毛 2001 | Peintre Celebre |
Louju | ||
Emily's Charm 鹿毛 1984 | Dom Alaric | |
スライトディセプション |
日本勢ではデルマソトガケに注目。父マインドユアビスケッツは2017年と2018年に当地のG1ドバイゴールデンシャヒーンを連覇した。デピュティミニスター系種牡馬の産駒は2015年以降に2頭出走し、ミスティックガイド(父ゴーストザッパー)が2021年1着、ホットロッドチャーリー(父オックスボウ)が2022年2着と好走している。
母アムールポエジーは関東オークスを5馬身差で楽勝。母の父ネオユニヴァースは、2011年のドバイワールドカップ(当時はオールウェザー)で日本調教馬として初優勝を果たしたヴィクトワールピサの父でもある。こうした血統背景なら、デルマソトガケが昨年のG2UAEダービーを快勝したことも納得。今度は父子2代でのドバイG1制覇を期待したいところだ。
マインドユアビスケッツ | Posse | Silver Deputy |
Raska | ||
Jazzmane 栗毛 2006 | Toccet | |
Alljazz | ||
アムールポエジー 栗毛 2010 サンデーサイレンス系 | ネオユニヴァース 鹿毛 2000 | サンデーサイレンス |
ポインテッドパス | ||
ハッピーリクエスト | トニービン | |
エイプリルソネット |
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。