◆安田記念追い切り（２９日・美浦トレセン）
春のマイル王決定戦、第７４回安田記念・Ｇ１（６月２日、東京・芝１６００メートル）の追い切りが２９日、東西トレセンで行われた。浅子祐貴記者は「考察」で昨年以上の調整過程で大舞台に臨むレッドモンレーヴに注目した。
速い時計を楽に出している馬にどうしても目が行きがちだが、どの馬も極限に近い状態に仕上げられるのがＧ１の舞台。直前の微妙なさじ加減によるわずかな差が、勝敗を左右するということを目の前で何度も見てきた。
そういった意味でも２９日のレッドモンレーヴは、“最終調整”という表現がぴったりの追い切りだった。美浦・坂路で野中（レースは横山和）を背に、ピークブルーム（３歳未勝利）とオールアイズオン（４歳１勝クラス）の間でスタート。残り２ハロン付近で先頭に並びかけ、鞍上の手が動くことなく余力十分に最先着を果たした。
５５秒３―１２秒４と時計こそ目立たなかったが、蛯名正調教師は「先週末にＷコースでやって出来上がっているので、機嫌良くリズム重視。バリバリやる必要はない」と、まさに“現状を調べて整えるだけ”の最終リハだった。
昨年はダービー卿ＣＴ→京王杯ＳＣの臨戦過程で６着に敗れたが、京王杯ＳＣから始動した今年は、叩き２走目で上積みが見込める。現に昨年は前哨戦の後に時計を出したのは３本で、今年はプールを併用しながら既に５本消化。順調に、じっくりと負荷をかけてきた。「今年は２走目で調整がしやすかったし、乗り手も言うことないと言っている」。指揮官の言葉から体調面に不安はない。
前走は上がり３ハロン３２秒２の豪脚を使い、一度は先頭に立つ場面をつくって鼻差２着。「馬は負けたと思っていないのでは」とトレーナーが振り返るほど、勝ちに等しい内容だった。決め手の威力はＧ１級。厩舎に初のビッグタイトルをもたらす可能性は十分にある。（浅子 祐貴）
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